かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234244j:plain

作品名:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

原作:大森藤ノ キャラクター原案:ヤスダスズヒト 漫画:九二枝

連載誌/レーベル:ヤングガンガン

出版社:スクウェア・エニックス

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

迷宮都市オラリオにある、世界でただ一つの【ダンジョン】。危険と引き換えに、富やロマンス、名声……人の夢と欲望が詰まったこの場所で、少年は一人の小さな「神様」とであった――。GA文庫大賞初の《大賞》受賞作を堂々コミカライズ!!

「なろう系漫画」です。
正確には「小説家になろう」ではなく、別の小説投稿サイト「Arcadia」で書かれていた小説が原作のファンタジー漫画です。
アニメ化もされているので、私も名前だけは知っていたのですが内容は初見です。
ebookjapanで1巻が無料で読めたので、レビューします。

 

登場人物

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234302j:plain

ベル・クラネル
主人公。異性との出会いを求めてちょっと冒険したくなって冒険者になったそう。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234315j:plain

アイズ・ヴァレンシュタイン
ヒロイン。「剣鬼」と呼ばれるメチャクチャ強い女剣士。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234326j:plain

ヘスティア
主人公が契約している神様。ロリ巨乳

 

レビュー

あらすじ

剣と魔法のファンタジー世界。
弱小ファミリアに所属する冒険者の「ベル」は、剣姫「アイズ・ヴァレンシュタイン」により命を救われ、彼女に惚れます。
そのことにより、「憧憬一途」というスキルが発現し、能力の上昇率がアップすることになりました。
そして、ベルはアイズにふさわしい男になるため、強くなることを決意します。


タイトルだけだと、モテない主人公がダンジョンで出会いを求めて戦い続けるが全然うまくいかず、強さだけどんどん上がっていく、的なコメディチックな話かと思ってましたが全然違いました
冒頭でいきなりヒロインに惚れたら、あとはずっとヒロインを一途に想い続ける、みたいな感じになります。
「憧憬一途」というスキルの効果が
 ・早熟する
 ・懸想が続く限り効果持続(懸想:異性に思いをかけること。恋い慕うこと。)
 ・懸想の丈により効果向上
なので、ヒロインを一途に想えば想うほどその間の能力の上昇率がアップするということですから、さすがに途中でヒロインを諦めて、ダンジョンに別の出会いを求める展開になるとは思えないですし。
タイトル詐欺のつもりはないのかもしれませんが、このタイトルでダンジョンに出会いを求める話ではなく、ダンジョンで出会ったヒロインを一途に想い続ける話だと思う人っているんですかね。

 

ハーレム展開は無し?

ヒロイン「アイズ・ヴァレンシュタイン」を一途に想い続けるという話だと、「じゃあハーレム展開にはならないんだね」と安心する人がいるかもしれませんが、正直怪しいです。
1巻だけで、ヒロインを除いても4人の女性が主人公を気にかけています。

まずはギルドの受付嬢の「エイナ・チュール

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234343j:plain

何気なく「エイナさん大好きー!!」とか言う主人公のあざとさにイラっときます。

次に酒場のメイドの「シル・フローヴァ

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234416j:plain

落とし物を拾ってもらったところからあれよあれよという間にこんな感じです。

次に女神「フレイヤ

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234508j:plain

一目見ただけでこれです。

最もあれなのが、主人公が契約している女神の「ヘスティア」で

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234522j:plain

主人公がヒロインに一途になった設定の後でも、抱き合って寝るなどイチャイチャします。一途って何でしたっけ???

とまぁこういう状態なので、主人公としてはヒロインを一途に想い続けてるつもりなのかもしれませんが、その裏で鈍感系主人公としてあざとい言動により他の女性をポッとさせたり、惚れさせた女性からのアプローチがあったり、結局イチャイチャしたり、ということが起きそうな予感でいっぱいです。

 

神々と人間が共存している設定

剣と魔法のファンタジー世界で、ダンジョンにモンスターが沸いていて、それを冒険者が討伐して、ギルドで換金する、というのは「なろう系漫画」ではよくある設定です。
ただ、この漫画は、神々と人間が共存していて、冒険者はそれぞれの神と契約し恩恵を授かり、「ファミリア」という組織を作って競っている、というかなり特殊な設定が付加されています。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726235546j:plain

神々と人間が共存する経緯についてはこんな感じの説明です。

そもそも私は「神様の気まぐれ」的な設定が好きではありません。
本当なら解決できる問題なのにおふざけに付き合わされてるだけ、と考えると緊張感が薄れてしまいます。
この漫画では、その神様が人間と共存してるので尚更です。
どんなピンチに陥っても「いざとなれば万能の力を使って解決できるんじゃないの?」と思うとなんだか冷めてしまいます。
「使わない」とは言っても「本当に死なせたくない人が死にそうならルールを破ってでも助けるよなぁ」と思います。
「もし助けないなら所詮はその程度の存在なんだろ?」というのは、穿った見方すぎますかね。

それに「人間よりも遥かに長生きしているのに幼稚な言動をしている」っていうのも、おふざけをしているように感じられてあまり好きではありません。
「まるで人間のような様々な神様たちが和気あいあいしてて楽しい」と評価する人も多いのかもしれませんが。
この漫画を「楽しい日常系漫画」と見るか「真剣な冒険系漫画」と見るかで、ここらへんの評価は大きく変わるような気がします。

 

主人公について

ズバリ一言で言うと「あざとい」です。
かわいい系の鈍感系主人公はよくあるキャラクターなのですが、この漫画では「ヒロインに一途」という設定があるので、余計に他の女性に向ける言動の「あざとさ」が気になります。
それに「草食系男子に見せかけた雑食系男子」疑惑もあります。
もともと「ダンジョンに出会いを求めていた」わけですし、その後も「ヒロインに近づくために強くなる」ですから、「いくら鈍感系主人公ぶっても頭ン中女のことばっかじゃねえか」と言わざるを得ません。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

f:id:gaucheblog:20200726234622j:plain

「純真一途な理由」て。。。一途にヒロインのケツを追っかけるんだろ?
何を注意されてるかわかってる?これはボケなのか?

 

スキル「憧憬一途」について

「なろう系漫画」でよくあるチートスキル「成長率アップ(獲得経験値〇〇倍)」の条件付きバージョンですね。
もっとも、「条件付き」と言っても、あってないような条件ですけども。
これ系のスキルは結局「レベル(能力)を上げて解決」というパターンになりがちなので、戦闘シーンの面白みは薄いかもしれませんね。
実際、第1巻には3回くらい主人公の戦闘シーンがありますが、「短剣で戦ってる」と言うしかない内容です。
なんだかんだで、戦闘とかよりも女の子との関係性に重きを置いた漫画って感じがしますね。
要するに「恋愛要素のあるバトル漫画」ではなく「バトル要素のある恋愛漫画という感じです。
とは言え、主人公がガンガン強くなっていく要素もあるのでそっちでも楽しめるとは思いますが。

 

総評と今後

「色々な女の子が主人公を取り囲んでキャッキャウフフするラブコメディです」。
「ヒロインを一途に想うことで強くなっていく少年が主人公の英雄譚です」。
真逆の紹介ができる漫画です。
個人的には「英雄譚と思わせといて実際はラブコメの要素が多いなぁ」と思いました。
ここらへんは読者の受け取り方でだいぶ違うと思うので、それぞれ読んで確かめるしかないかもしれないですね。

主人公のキャラクターにしても
「普段は優柔不断で誰にでも優しいが、ヒロインのことを一途に想っている」ととるか、
「ヒロインが一番好きなくせに、誰にでもいい顔をする天然の女たらし」ととるかで評価はガラッと変わると思います。

どちらにせよ、成長にしろ恋愛にしろ、経過をきちんと描こうとしてる気がするので、単純な俺TUEEEや単純なハーレム物にはならないような気がします。
そこは今後に期待が出来る点かなと思いました。

【ゲームレビュー】The Last of Us Part II

作品名:The Last of Us Part II(ラストオブアス2・ラスアス2)

対応機種:PlayStation 4

開発元:ノーティードッグ

発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント

Playstation.comより

謎の感染爆発によって変わり果てたアメリカを横断した危険な旅路から5年、エリーとジョエルはワイオミング州ジャクソンで暮らしていた。生き残った者たち(生存者たち)によるコミュニティーは順調に発展し、二人は安らぎと落ち着きを取り戻したかのように見えた。もちろん、さまざまな危険は存在する。感染者とそれ以外――惨めな境遇にいる他の生存者たちだ。そして、あるすさまじい出来事が平和を崩壊させたとき、エリーの無慈悲な旅が再び始まる。裁きを下し、すべてを終わらせるために。ひとり、またひとりと、標的を追い詰めてゆくエリーが見出したのは、自らの行いによって生み出された、心と身体を揺さぶる凄惨な連鎖だった。 

世界中で物議をかもしていると噂のゲームです。
いつもは漫画レビューしかしていないのですが、今回は私も衝撃を受けた人間の一人として、このゲームのストーリー面に限定してのレビューをしたいと思います。
漫画のように簡単に読み直しができないので、確認不足でちょいちょい間違ってるところもあるかもしれませんが、ご容赦ください。

 

登場人物

エリー
前作のヒロインにして今作の主人公。
ゾンビ化する感染症の抗体を持っている唯一の存在。

 

ジョエル
前作の主人公。
前作ではエリーを守るために必死で戦ったメチャクチャかっこいいオッサン。

 

アビー
今作のもう一人の主人公。
ジョエルを殺し、世界中から凄まじいヘイトを集めることになったマッチョ女。

 

前作のざっくりとしたあらすじ

ゾンビ化する感染症により文明が崩壊したアメリカ。
そんな中、抗体を持っている特別な少女「エリー」と、彼女を「ファイアフライ」という組織に送り届けることになった運び屋「ジョエル」との、アメリカ横断の旅が始まりました。
最初は反発していた2人でしたが、徐々に絆を深めていき、とうとうファイアフライの元へ辿り着きました。
しかし、ワクチンを作るにはエリーが死ななければならないことを知ったジョエルは、その場にいたファイアフライの兵士や医者たちを殺し、エリーを助け出しました。

 

今作のざっくりとしたあらすじ

「ジャクソンシティ」というコミュニティで平穏に暮らしていたジョエルとエリーでしたが、ジョエルは「アビー」というマッチョ女に殺されてしまいます。
アビーは「WLF」というファイアフライの残党で構成された組織の一員で、前作のラストでジョエルに父親を殺されていました。
アビーはその復讐で、あろうことかエリーの目の前でジョエルを撲殺してしまうのです。
復讐の鬼と化したエリーはWLFの連中を殺しまくりながらアビーを追いかけます。
しかしアビーに返り討ちにあってしまい失意のうちにジャクソンシティに戻ります。
このままジャクソンシティで恋人(♀)と暮らすかに思えたエリーですが、ジョエルの死の光景が頭から離れず、アビーの足取りが判明したことで再びアビーを追いかけます。
しかしようやく見つけたアビーは「ラトラーズ」というヒャッハー集団に捕まって痩せ細っていました。
エリーはアビーを解放するものの、戦いを強要。
戦いと葛藤の末、エリーはアビーにトドメを刺すことなくジャクソンシティへと戻りました。

 

ストーリーの構成

ざっくりわけるとこんな感じでしょうか。

序章:ジョエルが殺されるまで
エリー編:エリーによる復讐の旅。アビーと対峙するまで
アビー編:アビー視点でのエリー編の裏側。エリーを返り討ちにするまで
最終章:エリーが再びアビーを追う。エリーvsアビー、最後の戦いとその後

 

肯定的な意見から

前作も素晴らしく、胸を打つ作品でしたが、今作は胸をえぐるような作品でした。
この感情は数日経っても収まらず、とうとうレビューをせざるをえないところまで来てしまいました。
良い悪いはともかく、スゴイ作品であることは間違いないです。
おそらく一般プレイヤーよりも、クリエイターに与える影響の方が大きいのではないでしょうか。

ストーリーに込められたメッセージも素晴らしいと思います。
簡単に言ってしまうと、「復讐の連鎖は断ち切りましょう」ということなんですが、その断ち切る際の、いわば我慢する立場の人間の葛藤や苦悩というのをきちんと描いているのが素晴らしいと思います。
つまり、「復讐の連鎖は断ち切りましょう」と言いつつ、それが簡単ではないということもきちんとメッセージに込められているわけです。

 

否定的な意見

スゴイ作品であることが間違いない一方、否定的な意見が寄せられているのも物凄く理解できます。
前作であれだけ頑張ったジョエルが早々に、それも残酷な殺され方をしたことに、深い悲しみと怒りを抱いたプレイヤーが続出。
エリー編では、エリーと同じように復讐に燃えてプレイをしたはずです。
そんなプレイヤーが、アビー編で突然、仇であるはずのアビーの操作を強要されたわけです。
ここでモチベーションが落ちたというレビューが結構聞こえてきますが、まぁ無理もないと思います。
最後のエリーの決断も、「復讐を成し遂げてほしかった」「アビーは殺してほしかった」「スッキリしない終わり方だった」という評価になってしまいました。
まさに「復讐の連鎖を断ち切ることは簡単ではない」ということの証ですね。

 

こうすればよかった

ではどうすればよかったのか、大きく分けて3パターンあると思います。
一つは、「そもそもジョエルを殺すべきじゃなかった」です。
これはもうストーリーの根幹が崩れて別物になってしまいますね。
二つ目は「アビーを殺して復讐を成し遂げてほしかった」です。
プレイヤーはスッキリする人が多いかもしれませんが、その分メッセージは無に帰します。
では三つ目、「プレイヤーがアビーを殺さなくてもいいと思うようにすればよかった」です。
そもそも制作陣は、この三つ目が狙いだったと思います。
アビーを操作させて、アビーに感情移入させて、「アビーも助けてあげて」とプレイヤーに思わせたうえでエリーvsアビーの最後の戦いを迎えるはずだったのではないかと思います。

しかし予想に反して、というか予想以上にジョエルが偉大過ぎました。
そして、エリーとジョエルの絆が強すぎました。
それに対してアビーへの感情移入のさせ方が不十分だったと思います。

 

アビーに感情移入できなかった理由

復讐する理由に納得がいかない?

アビーの復讐の理由はもちろん「父親がジョエルに殺されたから」なのですが、ジョエルやプレイヤーからしたら、「だってエリーが先に殺されそうだったんだから仕方ないじゃん」と言いたくなりますよね。
正確には、アビーの父親は医者で、武器も持っていなかったので殺さなきゃいけないほどではなかったのですが、組織の一員なわけですし。
とは言え、ファイアフライの方も「人類を救う」という大義のもとの行動なので、殺されなきゃいけない悪人というわけでもありません。
結果として、ジョエルの行動により人類は救われる機会を失い、多くの人が死ぬことになりました。
ここらへんは前作の時点で、「大切な人の命と人類の未来のどちらを選ぶか」ということを考えさせられ、答えに詰まった人も多かったのではないでしょうか。
その難題が今作にも引き継がれ、プレイヤーの中でも「ジョエルが殺されること自体はしょうがない」という意見は結構あったように思えます。

 

復讐の仕方がやり過ぎでは?

述べた通り、復讐すること自体の是非は微妙なライン上にあると思います。
妥当とも言えるし、逆恨みとも言えるし、という状況です。
しかしそれにしては「復讐の仕方が残酷すぎたのではないか」というところで納得いかなかった人が多かったのではないでしょうか。
何の罪もない人を自分勝手な理由で殺したヤツに対する復讐だったらわかりますが、ジョエルの行動はあくまで「エリーの命を守るため」であって、そんなのはエリーに反論されるまでもなくわかっていたはずです。
にもかかわらず、ジョエルのことをクズ呼ばわりし撲殺したのは納得いきません。
しかも直前にアビーはジョエル達に助けられてるわけですしね。
エリーが復讐を葛藤し最終的にアビーを見逃したのと比べると、アビーの復讐はあまりにも行き過ぎていて、自分勝手すぎると感じてしまいます。(まぁ実際はエリーもWLFメンバーを殺しまくりましたが)
せめてアビーに「復讐前の葛藤」や「復讐後の後悔」があればよかったのですが、そういったことを明確に示すシーンがなかったように思えます。

 

アビーの復讐関連の苦悩描写が少なすぎる

アビーの苦悩は「ジョエルへの復讐」関連よりも、元カレ「オーウェン」の心配と三角関係、宗教組織「セラファイト」関連の方が多かったと思います。
父親を殺されたことに対する苦悩も描かれてはいましたが、ジョエルを失ったエリーの苦しみの描写と比べるとほんの少しです。
もちろん苦しんだからこそ復讐まで至ったんでしょうし、ごく普通の少女だったアビーが5年くらいの月日で、ゴリラと形容されるほどマッチョになったのも、よくよく考えれば相当な苦労があったんだとわかります。
ただ、だからこそそれを見せてほしかったですね。
たぶん、ストーリー構成やゲーム性などを考慮して、エリーの復讐の旅の真裏の期間をプレイさせることになったんだと思いますが、感情移入させるのに重要だったのはアビーが復讐を果たすまでの期間だったと思います。
父親が殺される悪夢にうなされる日々と、復讐を誓い体を鍛え、危険な任務も必死でこなす、という姿を見せてもらっていれば感情移入しやすかったと思います。
また、父親が殺される悪夢が、ジョエルが父親を残酷に殺したという悪夢に段々と変わっていくという展開にすれば、それが思い込みだったとしても、「アビーが残酷な復讐をせざるをえない精神状態になったのはしょうがない」とも思えたのではないでしょうか。

また、復讐を果たした後に復讐したことを後悔するような描写をガッツリと作ってほしかったと思います。
仲間が殺されたことや、返り討ちにしたエリーにトドメを刺さなかったことなどで、「多少後悔はしてるのかも」とは思いましたが、その程度です。
やはりこれもエリーと比較すると少なすぎで、「エリーは苦しんだのにアビーは復讐を成し遂げてスッキリしやがって」と感じてしまいます。
ここらへんを、
”復讐を成し遂げたにも関わらず父親が殺される悪夢は続き、それどころか、自分がジョエルを撲殺したように、ジョエルが父親を撲殺するという悪夢に置き換わるようになってしまった”
とすれば多少は胸がすくプレイヤーも多かったと思います。
他にも、エリーの復讐を巡って仲間割れがおきる、という展開が欲しかったですね。
というか、エリー編でアビーがWLFから逃げただのなんだの騒いでたのはそういうことかなと思っていたのですが、全然違ってて残念でした。

 

アビーの色恋沙汰は要らない?

エリー以上に苦しむ姿を見せてようやく釣り合いがとれるかもという状況で、色恋沙汰にうつつを抜かしてしまったのはかなりのマイナスポイントだと思います。
ましてやそれが、妊娠中のNTR行為ですから、感情移入どころか嫌われる行為ですよ。
「好きな男性はいたけど復讐が優先だったので恋愛はしなかった」、「復讐のために女性としての幸せは捨ててしまった」という描写ならいいと思うんですが。
ものすごく好きでたまらない相手だけど、妊娠してる女性のことを思って身を引く。それでも2人(生まれてくる子供も含めると3人)の幸せを心から願う、という健気で心優しい女性として描いたうえで、エリーにその2人が殺される、という展開にしていれば、全然違ったと思います。
NTRしたうえで女性から「あなたは来ないで」って突き放された状態で2人が殺されたって、「かえってよかったじゃん、ざまぁって思ったんじゃないの?」とか思ったり思わなかったりしません? そう思う人は性格が悪いでしょうか(;^ω^)

 

総評

制作陣がやろうとしたこと、伝えたかったメッセージは素晴らしかったと思います。
エリー側も素晴らしかったと思います。ジョエルとの思い出シーンは泣けました。
問題はアビー側です。
2人の相対する立場の主人公を作り最後に対決させる、という構成にする以上、片方に魅力がないと一気に崩れちゃいます。
ましてやエリーとジョエルの絆は前作から濃密に描かれましたから、アビー側をよっぽど頑張らないと釣り合いがとれないのはわかりきったことでした。
にもかかわらず、余りにもお粗末だったと思います。

こうやってまとめてみると、不十分どころかマイナス面がかなり目につきますね。
本当は褒めるつもりでレビューを書き始めたんですがw
何度も言いますが、やろうとしたことやメッセージは素晴らしいと思うので、アビー編を丸々作り直してくれないかなぁ、と切に願うところです。

 

【漫画レビュー】Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 全2巻

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 1巻より

f:id:gaucheblog:20200721173137j:plain

作品名:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編

著者:マツセダイチ 原作:長月達平 キャラクター原案:大塚真一郎

連載誌/レーベル:MFコミックス アライブシリーズ

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 第1巻 紹介文より

異世界に召喚された少年・スバルが、死して時間を巻き戻す能力「死に戻り」で絶望の運命から未来を拓く!――たとえ君が忘れていても、俺は君を忘れない。

「なろう漫画」です。
アニメなんかでもかなり有名な作品ですよね。
なんですが、私はアニメも漫画も見たことなくて、名前だけずっと知っていました。
「死に戻り」というテーマはスゴく興味があったのですが、なんとなく雰囲気とかが自分に合わなそうと感じて食指が動いていませんでした。
ですが今回「第一章」だけ、全2巻というちょうどいい長さなので買ってみました。
ということでレビューをしたいと思います。

 

登場人物

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 1巻より

f:id:gaucheblog:20200721173150j:plain

菜月 昴(なづき すばる)
主人公。通称「スバル」

 

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 2巻より

f:id:gaucheblog:20200721173700j:plain

エミリア
はじめは「サテラ」と名乗っており、本当の名前が明かされたのは最後の最後でした。
ちなみに「サテラ」というのは「嫉妬の魔女」の名前で、口に出すのも憚られるようなものだったそうです。

 

ざっくりとしたあらすじ

気が付いたら異世界の街に突っ立っていた高校3年生の主人公「スバル」は、チンピラに襲われていたところを美少女ハーフエルフ「サテラ(仮)」に助けられました。
サテラ(仮)は盗まれた徽章を探している途中だったので、スバルは恩返しに手伝うことにしました。
なんやかんやあってようやく見つけたと思いきや、スバルもサテラ(仮)も何者かに殺されてしまいます。
と次の瞬間、スバルは異世界に来た瞬間まで戻っていました。
スバルには死んだら最初の時間に戻る「死に戻り」という能力が身についていたようです。
さて、スバルとサテラ(仮)は死の運命から脱し、無事に徽章を取り戻すことができるのでしょうか。

 

見どころ&レビュー

「なろう漫画」らしくないストーリー

「なろう漫画」とは思えないメチャクチャしっかりとしたストーリー構成です。
確かに異世界転移モノではあるのですが、なろうテンプレとは全然ちがいます。
「なろう漫画」で異世界転移・転生と言ったら
異世界転移した時にチート能力を貰った」だの、
「子供の頃から魔法の特訓をしまくってメチャクチャ強くなった」だの、
多少の違いがあったとしても、結局は俺TUEEEして女をはべらせてさすなろする話ばっかりですからね。
「死に戻り」なんていうのも確かにスゴイ能力なんですが、だからと言ってそれで俺TUEEEはできませんし。戦闘力は一般人と一緒です。
「なろう漫画」における異世界のチンピラと言ったら、主人公がちょちょいとやっつけてヒロインを惚れさせるための存在のはずですが、この漫画では十分に主人公を苦しめ、主人公がヒロインに助けてもらうという逆のパターンを作り出します。

 

「死に戻り」を利用したストーリー構成

主人公のスバルは「死に戻り」により、同じ1日を4回経験します。
1度目は、ヒロインとの出会いから謎の死までの正道ルート。
2度目は、ヒロインとは出会わず、死の真相を知る裏道ルート。
3度目で、「死に戻り」を確実に認識することになり、
4度目で、今までの経験をもとに解決まで向かいます。
と、かなりコンパクトにまとまったストーリー構成です。
個人的には「思ったほど死ななかったなぁ」と思いましたw
「死に戻り」に気付いてから何回かチャレンジすることになるのかなと思ったのですが、1回で解決できました。
4回目で突如出てきた「剣聖」ラインハルト(後ろ姿みたいなのは出てきてましたが)の功績が大きいので、若干ご都合主義と感じる人もいるかもしれませんが、第一章なのでこんなものでいいのかもしれませんね。

 

主人公と読者だけが知っていること

ストーリー物で読者を惹きつけるポイントの中に「主人公と読者だけが知っていること」を作り出す、というものがあると思います。
例えば、最近流行りの「小説(ゲーム)の登場人物になった」とか「人生をやり直すことになった」とかもそれです。
「この先のストーリーを知っている」というアドバンテージを利用して有利に事を進めていくというのは、主人公に感情移入した読者にとって、スカッとする展開です。
「死に戻り」も正にそれで、本来であれば知らないはずのことを何故か主人公が知っていることで、敵も含めた周りのキャラクターが驚く展開は見ていてニヤリとしてしまいます。

ちなみに、「周りは主人公のことを弱いと思っているが実は強い」や「周りは主人公が悪いヤツだと思っているが実はいいヤツ(冤罪モノ)」なんかもそれですね。
読者はそれが勘違いだということを知っているので、いつかその誤解が解けた時にスカッとするだろうと期待しながら読んでいるわけです。

 

主人公について

先ほども述べた通り、この漫画の主人公「スバル」は、俺TUEEEをできません。
「やれやれ」とか言いながら超絶魔法を使ったりもしませんし、
超絶魔法を使ったあとに「オレ何かやっちゃいました?」とかも言いません。
チンピラに絡まれたら普通にボコボコにされますし、強い敵には手も足も出ず周りに助けてもらいます。
「なろう漫画」ではよく「どこが普通の高校生やねん」という主人公が出てきますが、スバルは本当に普通の男子高校生の常識的な範囲内での能力で立ち回ります。

と、ここまで聞けばメチャクチャ感情移入できそうな主人公かと思われそうですが、個人的には結構苦手なタイプです。

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 1巻より

f:id:gaucheblog:20200721174513j:plain

作者にその意図があったのかはわかりませんが、このページを見た時には不良キャラかと思っちゃいました。
実際に、割とケンカ慣れしているようですし、お調子者でコミュニケーション能力が凄まじく高いです。
どんなに中二病的思考を披露しても、オタク引きこもり系の不登校児には見えません。

まぁ「なろう漫画」には
オタク引きこもりだったはずなのに、何故かとんでもないコミュ能力を発揮したり、
気弱なイジメられっ子だったはずなのに、偉い人にもいきなりタメ口をきいたり、
女が苦手な童貞だったはずなのに、初対面のヒロインの頭をなでてポッとさせたり、
という支離滅裂な主人公設定も多いのですが。

ただ、スバルに関しては、第一章しか読んでないですが、ガチで不良キャラかもしれませんね。
不良と言っても「犯罪行為を犯す系の不良」ではなく、「学校さぼってパチンコ行ったりする系の不良」ですが。マイルドヤンキーってヤツかな?

そんな感じプラスどんな時でもふざけたような言動をするというのがスバルの特徴です。
この言動を「面白い」と感じるか、「苦手だわー」と感じるかがスバルを受け入れられるか否かの分かれ目になるかと思います。
ただ、さすがに終盤はマジメなシーンも増え、不快感度はほとんどなくなります。

 

総評と今後 

主人公に関しては好みが分かれると思いますが、ストーリーに関してはしっかり考えられていて好感度は高いです。
そもそも「死に戻り」(というか「ループもの」)という設定上、しっかりと練ってからでないと書けないのかもしれません。

今回は「第一章」だけのレビューでしたが、漫画では「第四章」の途中まで出てるみたいです。(2020年7月時点)
一応「第一章」だけでもまとまっている作品だとは思いますが、やっぱり謎は色々と残ってますね。
敵も生き残ってますし、「剣聖」ラインハルトも重要キャラっぽいですが最後の方にしか出てきてませんし、ヒロインが何者なのかも明かされてないです。

 

【漫画レビュー】賢者の孫 1巻

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013039j:plain

作品名:賢者の孫

原作:吉岡剛 漫画:緒方俊輔 キャラクター原案:菊池政治

連載誌/レーベル:角川コミックス・エース

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 紹介文より

事故で死んだはずの青年が、赤ん坊の姿で異世界に転生。そして救国の英雄「賢者」マーリン・ウォルフォードに拾われた彼は、シンと名付けられる。孫として育てられたシンはマーリンから魔法を教わるが、その習得速度は驚くべきもので、メキメキと力をつけていく。一方、山奥で世間から隔離されて育った弊害として、シンには一つ致命的な問題があった…。そう、シンが15歳となった時に祖父・マーリンは言ったのだ――「常識を教えるの忘れとった」! かくして常識と友達を得るためアールスハイド高等魔法学院に入学するシンだったが――。《規格外》な少年の型破り異世界ファンタジーライフ、ここに開幕!!

「なろう漫画」の中でもかなり有名な漫画ですよね。良くも悪くも
私も既にだいぶ先まで読んであるのですが、
ebookjapanで1巻だけ無料で読めたので、改めて1巻だけのレビューをしたいと思います。

 

登場人物

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013115j:plain

シン・ウォルフォード
主人公。「またオレ何かやっちゃいました?」系主人公その人です。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013132j:plain

賢者マーリン・ウォルフォード
赤ん坊の主人公を拾って孫として育てました。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013151j:plain

シシリー
ヒロイン。チョロすぎヒロインです。
無自覚(?)に主人公への好き好きアピールをしまくります。
「あれ?またワタシ何かやっちゃいました?」という心の声が聞こえてきそうなシーンがたくさん出てきます。

 

あらすじ&レビュー

第0話:異世界転生

会社員の主人公は交通事故で死んで、異世界に転生しました。
ですが、転生先の家族が魔物に襲われて全滅したようで、生き残った赤ん坊の主人公だけが、通りすがりの賢者に拾われて育てられることになりました。

テンプレ通りの異世界転生モノですが、最近ではよく省略される転生前の主人公が描かれています。
なんですが、この漫画、あんまり異世界転生要素はありません。
それよりも、強い人に育てられたので無自覚でメチャ強キャラになった主人公というテンプレの方が影響力が強いです。タイトルもそれですし
まぁ漢字を利用するとかしてるので、全く異世界転生要素がないわけではないのですが、「世界が違うとは言え、なぜ会社員まで経験した主人公がこんなに世間知らずなんだよ」というツッコミが読者からされまくっています。
なので、あんまり違いはないかもしれませんが、「会社員じゃなくせめて高校生くらいにしとけばよかったのに」と思うところです。
まぁ大人だったはずの主人公が転生後幼児化するっていうのは「なろう漫画」ではよく見るヤツですけどね。

 

第1話

賢者に育てられたので強くなりました。
さらに賢者の知り合いから魔道具の作り方を教わり、更に別の知り合いから武術の訓練も受けてました。
ただし、常識を教わるのは忘れていたようです。

「なろう漫画」ではよくある、強い人に子供の頃から鍛えられたので強くなったという展開ですね。
実際はそんなうまいこといくわけないとは思いますが、まぁ導入部分としての理屈付けとしては別にいいかと思います。このレベルにツッコみだしたらキリがないです
そんなこんなで10歳の頃には一人で魔物を瞬殺できるほどに強くなりました。
魔法自体も強いんですが、魔道具作りに漢字を利用してるのが特徴かなと思います。
魔法を付与するための文字数には制限があるようで、例えば英語だと「fly」で3文字のところ、漢字だと「飛」の1文字で済む、みたいな感じで有利っぽいです。
「そんな簡単なことでそんなに有利になるなら、魔法使いオリジナルの文字でも作っとけよ異世界人」とは思うのですが、まぁここも余計なツッコミですね。

それから、強い人に子供の頃から鍛えられたので強くなったという展開によくある設定として、世間の常識を知らず、自分が強い自覚もない、というヤツがこの漫画でもあります。
この主人公の場合、別の世界とは言え、一応成人まで育ってた経験があるので、「考えりゃわかるだろ」という要素はより強いはずなのですが。。。
よくネタにされる「またオレ何かやっちゃいました?」がこの主人公です。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013221j:plain

「…あれ?どしたの皆?」
このレベルの魔法を誰でも使えると本当に思ってるのか?というレベルの魔法を見せた後のこのセリフです。煽ってるとしか思えません。憎たらしいです

 

第2話

世間知らずの主人公は、王様の勧めで王都にある高等魔法学院に入学することにしました。
で、王都に引っ越した当日、町をブラブラしていると女の子達がガラの悪い連中に絡まれていたので助けました。

賢者に育てられたというメリットは、「強くなった」の他に、「王様やらとコネクションがある」ということもありました。
完全に人生イージーモードです。とは言え、強さだけでも十分イージーモードなのですが
王都で済む家もこんな感じです。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013240j:plain

「前世でも悪い事しないと住めない系の家だ」
どういう認識なんでしょう。

で、王都ではガラの悪い連中に絡まれてるヒロインを助けるというテンプレイベントが起きます。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013256j:plain

「女の子まで狩っちゃったら悪人だよ?」
このセリフでブチギレるコイツラは悪人の自覚がなかったんでしょうか。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013346j:plain

「あれ!?受け身取らないの!?死んでないよね?」
1人目を倒して、このリアクションを取ったあとに、さらに危険な投げ技をします。
もちろん全員倒したあとも無事かどうかの確認はしません。
そんなことよりも女の子の方が気になりますからね。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013406j:plain

悪漢どもを倒す時はずっとすまし顔だったのですが突然のこの表情です。
何事かと思ったら女の子がカワイすぎましたなんだそりゃ

 

第3話

ヒロイン

助けた女の子の一人が相当かわいかったらしく見惚れてしまいました。
その後カフェで自己紹介をしますが、偶然同じ学校の入試を受けるようです。

王都に来た当日に偶然出くわしたトラブルから助けた女の子は、偶然同い年で同じ学校に入るようです。主人公は一目惚れするのですが、向こうも主人公に一目惚れしたようです。まぁなろう界隈ではよくある偶然ですね

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013430j:plain

しかし「なろう漫画」では珍しくハーレム展開にもならずに一途な恋愛をするんですが、にも係わらずやたらと癪に障るんですよねこのカップル。

 

入学試験

入学試験直前、トラブルが発生しかけますが王子が間に入って何事もなく済みました。
試験の方は、筆記試験は何事もなく終わり、魔法の実技試験でまたいつものやつをやっちゃいました。
当然結果は首席合格です。

「英雄の孫って事ですでに注目されてそうだし…目立ちたくはないけど」
と考えていた主人公ですが、

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013450j:plain

肩を掴まれただけでこの反撃です。
ナローシュ(なろう漫画の主人公)の「目立ちたくない」はホント信用できないです。

で、実技試験の方はこんな感じでした。

出典:賢者の孫 1巻より

f:id:gaucheblog:20200720013510j:plain

はいはい

 

総評と今後

主人公がいちいち癪に障ります。
特に何がっていうポイントがないところでも癪に障るので、人をイラつかせる才能がモノスゴいんだと思います。
まぁでも話自体は俺TUEEEの王道で、普通に楽しめるかなと思います。
色々ネタにされる今作品ですが、なんだかんだで「なろう漫画」の中にはもっともっとツッコミどころの多い作品があるので、結構マシな方なんじゃないですかね。

【漫画レビュー】宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224536j:plain

作品名:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する

著者:今井ムジイ 原作:すずの木くろ キャラクター原案:黒獅子

連載誌/レーベル:MFC

出版社:KADOKAWA

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

宝くじで40億当たり、会社を辞めて異世界へ――!? 貧しい村を、現代日本の物資と技術でなんとかしていきます。あと村の美少女に恋してしまいそうです…。

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料で読めたのでレビューします。

 

登場人物

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224608j:plain

志野 一良(しの かずら)
主人公。マジメで優しい好青年。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224626j:plain

バレッタ
ヒロイン。村長の娘。心優しき美少女。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224643j:plain

リーゼ
領主の娘。平民にも優しく、美人で、剣や槍の腕前も相当なもの。
ただ裏表がありそう。

 

あらすじ&レビュー

第1話:通路を抜けたら異世界

宝くじで40億円当たった主人公は、金の亡者どもから逃げるため、たまたま群馬の山奥に先祖代々持ってる屋敷があったので引っ越しました。
すると、屋敷の中に謎の通路があったので進んでいくと異世界に通じてました。
辿り着いた村の村長が病気だったので、持っていた薬や栄養ドリンクを飲ませたら数時間で治りました。
村人にも食べ物やら栄養ドリンクやらを大量にあげることになり、偶然見つけたリアカーで運びました。

都合がよすぎる展開が続きますが、もうこれは作者も開き直ってるだろうなという感じがするのでスルーします。
たぶん「日本から持ち運んだ物資で異世界の貧しい村を豊かにする」という話の軸が最初にできて、そのための工程は後から適当に考えたんじゃないでしょうかね。
「物資を買う金はどうしよう」→「宝くじでいいや」みたいな。
別にそこは読者も興味ないだろうし「いいよ宝くじで」ってなると思うのでWin-Winでいいと思います。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224750j:plain

しかし、この買い方はどうなんでしょう。キャリーオーバーってことでよかったんじゃ

 

第2話:揚水水車と全力疾走

村人に栄養ドリンクと炊き出しを振る舞ったところ、皆さん元気になりました。
干ばつが酷いようなので、雨乞い(たき火)をしたら雨が降りました。
近くの川に揚水水車を設置して水路も作って村に水を引きました。

さすがに雨乞い(たき火)の話はどうなんだろうと思いました。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224819j:plain

戦時中の話はよくわかりませんが、この程度で雨が降るなら世界中とんでもないことになってると思います。

ただまぁ流石にこれで、しょっちゅう雨は降らせられないということに気付いたのか、水車と水路で川から水を引くことにしました。
ですが、村人は水車を知らなかったので日本で作ることにしました。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224845j:plain

金に物を言わせる主人公。富豪の道楽はスゴイです。
あとは村人が水車を組み立てれば完成です。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200717000513j:plain

村長の変わりっぷりもスゴイですね。

 

第3話:芋畑で汗水を流す

領主の使いが村の様子を見に来ました。
日本で買ってきた肥料を村の芋畑に撒きました。

領主の登場です。
村の様子を聞いた領主が「地理的に水路なんて引けるわけないのに」と訝しがります。
小さな村からスケールが広がってワクワクしますね。

一方、主人公は「肥料」の概念がなかった村人のためにホームセンターで肥料を大量買いします。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716224950j:plain

「全部です」
主人公の成金っぷりが激しくなってきました。
しかし買い与えるだけじゃなくて畑仕事もしっかり手伝います。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716225006j:plain

富豪の道楽にしても、良い道楽だと思います。
「宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する」というより
「宝くじで40億当たったんだけど異世界でボランティアする」って感じですね。
下手したら
「宝くじで40億当たったんだけど異世界の村娘に貢ぐ」かもしれませんが。

 

第4~5話:異世界のショッピングモール~あなたは何者?

異世界の街にやってきた主人公は、トラブルに遭うも領主の娘に助けてもらいました。
その後、無事に村に帰ってきたら、もう芋ができていて驚きます。
一方、領主の娘は主人公が落とした宝石(?)を見て目を輝かせていました。
領主夫妻も出てきて、領地の食料不足を心配します。

異世界の街で、領主の娘と遭遇します。
領主の娘のメイドにぶつかってしまったことからトラブルになってしまいました。

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716225044j:plain

ぶっちゃけ私がここで一番心配したことは、主人公がチート能力に目覚めてガラの悪い連中をボコって俺TUEEEするって展開でした。「なろう漫画」に毒されすぎですね
が、そんなことにはならず領主の娘が諫めてくれました。

で、村に戻ると、もう芋ができてました。
「こないだ肥料を撒いたばっかりなのに」ということで、どうも日本から持ってきた物には特別な効果があるようです。
まぁ1話2話での栄養ドリンクの時に気付けよって話ですけどね。

一方、領主家では娘の結婚話。
からの「私はお金持ちの貴族としか結婚するつもりないの!」からの

出典:宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716225103j:plain

イヤなフラグです。ハーレムはやめてくれよー。重婚はやめてくれよー。

 

総評と今後

ちょいちょい展開に雑なところがありますが、基本的には面白かったです。
なろう漫画の異世界モノなのに「チート」も「ステータス」も「魔法」も「モンスター」も「冒険者ギルド」もない硬派な良作です。
「チート」や「ステータス」は本来あることがおかしいんですがw、「魔法」や「モンスター」もないのは意外でした。
「日本から持ち運んだ物資で異世界の貧しい村を豊かにする」というコンセプトを、地道にマジメに取り組んでる感じがします。
それにただ持ち込むだけじゃなくて、水車や水路を作ったり畑に肥料を撒いたりと少しずつ村を発展させてく感じがいいですね。
鉄腕DASHが好きな人が好きそうな漫画です。私はどちらも好きです。

今後については、「主人公が実はチート能力持ってました」とかいうことになったらガッカリですけど、今のところそんな気配はないですね。
水路が出来た時に走ってましたけどヒロインより先にバテてました。

ハーレム展開は、領主の娘の存在が気になりますが、どうでしょうね。やめてくれよー
この漫画の雰囲気的には無いんじゃないかと思いますが、もし「重婚」なんてことになったら一気に崩れ落ちますよ。
「重婚」なんて、普通はそんな心配するようなことじゃないんですけどねw「なろう漫画」に毒されすぎですね

 

 

【漫画レビュー】異世界薬局 1巻

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110111j:plain

作品名:異世界薬局

著者:高野聖 原作:高山理図 キャラクター原案:keepout

連載誌/レーベル:MFC

出版社:KADOKAWA

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

研究に没頭するあまり過労死した若き薬学者。しかし彼は異世界で宮廷薬師の息子、ファルマとして転生した。間違った治療法が横行するこの異世界で彼は現代薬学と手に入れたチート能力であらゆる疾病に立ち向かう。

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料で読めるのでレビューをしたいと思います。

 

登場人物

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110129j:plain

ファルマ・ド・メディシス
主人公。名門貴族であり薬師のもとに生まれた次男。
転生前は創薬の分野において世界トップクラスの研究者でした。

 

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110144j:plain

エレオノール・ボヌフォワ
ヒロイン。主人公の父親の弟子であり、主人公の家庭教師。16歳。

 

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110307j:plain

ブリュノ・ド・メディシス
主人公の父親。宮廷薬師。「尊爵」という侯爵よりさらに上の爵位だそうです。

 

あらすじ&レビュー

第1話:転生薬学者と異世界

前半:転生前

妹を脳腫瘍で亡くした主人公は「あのとき飲むだけで効く薬があればよかったんだ!」「なければ俺が創ってやる!!」と薬学者になりました。
しかし頑張り過ぎた結果、31歳で過労死しました。
そしてお約束の異世界転生です。

きちんと現代での様子を描いてからの異世界転生です。
まぁこの漫画のコンセプトとして、主人公がどんな現代知識を持っているか、というのはきちんと説明しなきゃいけないですからね。
「なろう漫画」ではよく「何で普通の高校生がそんな知識持ってんだよ」みたいなことが起きますが、この漫画では、少なくとも薬学の知識においては「だって主人公は世界トップクラスの研究者だから」で済みます。

後半:転生後

で、転生した先は、ファルマという名前のファンタジー世界の薬師の息子でした。
ファルマは雷に打たれて気を失った後ベッドに寝かされていたようです。
そんな状態だった割には周りの反応が薄いのが気になりましたが。
そんなこんなで目覚めた時には転生状態だったというわけです。
そして主人公の両腕には「薬神の聖紋」のような痕が残っていました。

正直、最初は「薬学者が薬師の息子に転生て都合よすぎィ!」と思いましたが、よくよく考えてみると、薬神とかいう神様が現代日本の有能な薬学者の魂をこの世界に連れてきた、と考えれば都合がよくても当たり前なんですよね。
何か意味ありげな伏線がいくつか張られていますし、その可能性はあると思います。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110409j:plain

で、この「神様」の存在が、この漫画において重要な役割を担っていそうです。
普通のファンタジーモノだったら「魔法」というところを、この漫画では「神術」と呼んでるのもその一つだと思います。

 

第2話:エレオノールの神術講座

前半:医療レベルについて

家族との食事シーンです。

食事中に父親から薬学問題を出されるのですが、やっぱりこの世界の医療レベルは相当低いみたいです。
まぁ、現代知識で俺TUEEEする話なんだからそうでしょうね。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110448j:plain

まぁ現代日本ならバカにされてもしょうがないレベルですよね。
ただし、神の奇跡が存在するファンタジー世界ならどうでしょうか。
「満月の夜は神力が強まる」とか「身を清めれば神力が強まる」とか「祈りを捧げれば神が力を貸してくれる」とか「聖水は神の力が宿っている」とか、ファンタジー設定としてはありがちな設定ですからね。
ここらへんの話は後程でも考察してみたいと思います。

 

後半:神術について

エレオノールという家庭教師から、神術についての説明を受けました。

この漫画、基本的には「現代知識チートモノ」なんですけど、ここで主人公には「魔力チート」と「チートスキル」まであることが判明します。
「魔力チート」は純粋に魔法=神術の力がスゴイっていうだけじゃなく、構造式を知ってる物質なら何でも作れるという、家庭教師いわく「そんな能力が使えるとしたら神様か化け物」というようなものでした。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110609j:plain

消す能力までありました。消せる物に制限はあるんでしょうかね。ないと困りますが……

「チートスキル」は、問題のある体の箇所が光って見えるうえ、病名を言うと正解かどうかも教えてくれる能力です。さらにどうやら、薬名を言うとそれがどのくらい効果があるかも教えてくれるみたいです。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110633j:plain

そんな能力、人間じゃないそうです。あと主人公に影がありません。

あとは知識さえあればいいわけですが、それは主人公が世界トップクラスの研究者だったのでクリアです。
これで主人公は、チートスキルによって病気と必要な薬を簡単に特定することができ、チート神術によって材料集めをすることなく薬を作ることができます
第1話でも言った通り、薬神様がチート能力を授けたうえで転生させた、と考えれば都合よすぎでもいいんですが、それにしても便利すぎますよね。
まぁでもここまでお膳立てしないと「知識だけあっても…」という感じで話が進まないならしょうがないんでしょう。
そこまでやるなら「何でも治せる薬を出す能力」を授ければいいじゃん、とも思いますけど、それをやったら物語にならないですしね。
一応、薬神様自身が「あらゆる病を見抜いて症状に応じた薬を授ける」という能力を持ってるらしいので、逆に、そこまでの能力しか持ってないと考えられるので理屈は合います。

ちなみに神術の説明で「生涯で使える神力の絶対量は決まっている」という話があったのですが、それがホントならおいそれとは神術を使おうと思わないと思うんですが、そこらへんどうなってるんですかね。
主人公たちガンガン使ってますけども。私の理解の仕方が間違ってるんでしょうか。

 

第3話:ド・メディシス家の人々と、ファルマの能力

前半:ヒロインとのイチャコラ

チート主人公の化け物っぷりに怯えた家庭教師が「辞めたい」と言い出したので、引き留めに行きます。
そのかいあって家庭教師は続けることになり、無人島でイチャコラしながら神術の特訓をしました。

家庭教師の家に来た主人公に対して、家庭教師は「殺される」と思って大騒ぎします。
まぁここらへんはギャグとして描かれてるんだろうとは思うんで、リアリティの無さに文句言ってもしょうがないとは思うんですけど、そこにシリアスとか感動とか恋愛とかマジメな要素を絡めた時に一気に気にかかるようになっちゃいますね。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110814j:plain 

前後の流れもあるのですが、ここまで本気で「殺される」と思うのはおかしいだろって思っちゃいました。この後も、

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110902j:plain

しつこいですよ。普通に風邪薬です。

後半:薬をプレゼント

メイドに手荒れの薬を、母親に腰痛の湿布薬をプレゼントしました。

母親に湿布を貼るシーンなんですが、

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716110945j:plain

前後はもっと露出の多いコマになってます。
母親相手のこういうシーン要ります?個人的にはすごい苦手です。

まぁただ最終的に「この世界の人々のために医薬の普及と奉仕がしたい」と考えるようになるエピソードでした。

 

第4話:サン・フルーヴ帝国皇帝の診察

前半:妹の水痘(水疱瘡)の治療

4歳の妹が水痘(水疱瘡)にかかってしまいました。
この世界の医療レベルでは水痘(水疱瘡)に効く薬がないため、主人公がこっそり作って飲ませました。

例の方法で薬を作りました。ほんとに便利です。
それどころか、さらに便利な能力が追加されました。
右手の指で輪を作ってそこを覗くと、患部を拡大して見ることができるようです。
ただ、その能力が使えない時のことを考えて自作で顕微鏡を作りました。
第2話のレビューで、「知識があるだけじゃ話進まないならチート能力を与えるのはしょうがない」という話をしましたが、この能力は「顕微鏡を自作できるんだから要らないんじゃ」と思うんですがどうなんでしょう。

後半:皇帝の肺結核の治療

父親と一緒に皇帝の診察にいったところ、「明日の夜がヤマだ」という状況でした。
主人公は、父親含めたくさんの医師や薬師がいるのも係わらず何もできないのを見て「見てらんねえぜ」とばかりにチートスキルを使って治療を申し出ます。
当然父親は「未熟者が戯れ言を申すな、下がっていろ!」と怒鳴りますが、皇帝は主人公に任せることにします。
皇帝が任せたにも関わらず父親が物凄い邪魔しにかかってきますが、主人公は杖なしの無詠唱神術で対抗します。
それを見た父親は「おまえは何者だ…!?」と主人公の異常に気付きます。

皇帝と言っても女帝でした。
気付けば第1巻で治療した人全員女なんですよね。
たまたまなんでしょうか。なんか今後もずっと女ばっかり治療しそうな予感がします。
男がゼロってことはさすがにないでしょうが。

あらすじでは有能な主人公の邪魔をする父親みたいな感じになっちゃいましたが、父親の側の気持ちも実はよくわかります。
この世界の人々からしたら不治の病なわけで、そこに子供が「新薬があります」とか言ってきてもそりゃねぇ。
しかもその薬が子供が神術で作った液体ですからね。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716111109j:plain

そりゃ説明を求めますよ。
現代日本でも、医者が匙を投げた末期の癌患者に「この魔法の水を飲めば治りますよ」って言ってくる奴がいたら「ちょ待てよ」となりますもんね。

 

科学と神術

この世界の医療は、主人公曰く呪術まがいの民間医療に傾倒しています。
なので主人公はちょいちょい心の中でバカにします。
ですが、「神術=魔法」があって、「転生」があって、「神様」がいてもおかしくない世界で呪術まがい」というのが本当におかしなことなのか、という疑問はあります。
主人公も、バカにする割りにはそういうことも考えてます。
第2話でこんなシーンがありました。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716111500j:plain

神術があろうとなかろうと、治癒率が低いわけだからこの世界の治療のやり方は間違ってるということですね。
確かにデータを見比べれば、今の異世界人たちがやってる治療法が現代医療よりもダメとは言えるでしょう。
ただそれに代わる治療法が、主人公しか使えない神術を使った治療ってのはどうなんでしょう。

 主人公 「そのやり方は間違ってる!」
 異世界人「じゃあどうすれば?」
 主人公 「僕が神術で薬を出す!」
 異世界人「私たちはどうすれば……」

となりますよね。
自分は神様から授かったと思われる能力で薬を作れるからいいものの、本来なら文明レベルに合わせた治療法しかできないわけですから、治癒率が低いのはしょうがないですよね。
それとも今はとりあえず手っ取り早いからそうやってるだけで、今の文明レベルでも作れる薬なんでしょうかね。医学知識が全くないので調べてもわかりませんでした
それなら今後は異世界人にも薬を作れるようにするって話が描かれるべきでしょうけどどうなんでしょう。
じゃないと「この世界の人々のために医薬の普及と奉仕がしたい」とはならないですしね。

こういう漫画のコンセプトって素直に考えれば「呪術まがいの医学を否定して現代医学で俺TUEEEする」=「迷信を否定して現代科学で俺TUEEEする」かなと思うんですが、実は必ずしもそうなってないんですよね、この漫画。
迷信を否定するはずが、その迷信が正しかったっていうシーンがいくつかありました。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716111442j:plain

「だいたい火傷は青白く光ったりなんてしないものよ!そうでしょう?」
完全に論破されちゃいました。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716111747j:plain

まぁ転生で助かったわけなのでポーションが効いたのかどうかはわかりませんが、どちらかと言うと、異世界の薬「ポーション」がどういうものなのか知らないうちにバカにしたことの方が気になりました。

出典:異世界薬局 1巻より

f:id:gaucheblog:20200716112145j:plain

これは画像以外のところでも、「おいおい病名特定できてないのかよ」みたいに思ってたこともあり、現代人の思い上がりみたいなものが指摘されたようなシーンになってます。

これらが意図的に作られたシーンなのかどうかで話がかわってきますけど、「科学と神」といった神学的・哲学的な分野に踏み込んでいったら結構面白いかなと思いました。まぁ考えすぎでしょうけどねw

 

総評と今後

基本的には現代知識チートで俺TUEEEする漫画のはずです。
ただそれだけには必要のない神力(魔力)チートもあり、今巻でもちょっとしたバトルも見せたので、今後そっち方面でも俺TUEEEがあるかもしれないですね。
いきなり皇帝の命も救いそうですし、主人公のサクセスストーリーが展開されるのは間違いないでしょうが。

画力は安定して高いです。話の構成の方もベタっちゃベタですが安定してるんじゃないでしょうか。
ただ表現にオーバーな部分が見られるのは好き嫌いが分かれるところかもしれません。ていうか私は若干苦手です。「わかりやすい」というメリットでもあるのですが。

レビューで書いた通り、現代知識チートを行うために神術チートを利用せざるをえないというところに、ご都合主義や矛盾みたいなことを感じる人もいるかもしれませんが、そこは「神様の仕業」ということでうまいことリアリティ持たせられたらいいのかなと思います。「神様の仕業って時点でご都合主義だろ」と思われたらしょうがないです

【漫画レビュー】ブサメンガチファイター 1巻

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714091832j:plain

作品名:ブサメンガチファイター

原作:弘松涼 漫画:上月ヲサム

連載誌/レーベル:月刊ビッグガンガン

出版社:スクウェア・エニックス

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

「ルックスは-255」「女に触れるとHP激減」「エッチをしたら四散して死ぬ」…そんな“設定”と引き換えに、引きこもりの元営業マン・しげるが、アッチの世界で手にしたモノは…?

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料で読めるのでレビューをしたいと思います。

 

登場人物

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714091851j:plain

吉岡しげる
主人公。規制されない程度にマイルドに描かれたブサメン。

 

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714092052j:plain

誠司(せいじ)
パーティーのリーダー。さわやかイケメン。

 

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714092146j:plain

聖華(せいか)
ヒロイン。世間知らずの天然ボケお嬢様。ツンデレ

 

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714092238j:plain

名前不明
ロリっ子。「アハハ、あたしも16歳になっています」って言うってことは実際は結構な年上かも。

 

あらすじ&レビュー

第1話:異世界転生

自他共に認めるブサメンである主人公が、更にブサイクになって異世界転移しました。
ブサイクになる代わりに手に入れた圧倒的な力で、同時に転移してきた3人の仲間とともにファンタジー世界を冒険します。

 

事前に能力パラメータをいじってから転移するパターンの異世界転移モノです。
これ系の異世界転移は、リアリティはグンと下がるんですが、作者の工夫が見られて個人的には嫌いじゃないです。

ではこの漫画はどうでしょうか。
主人公は元々ブサメンだったのに、ルックスパラメータを爆下げし、超絶ブサメンになることで、他の能力にその分の数値を振り分けられるようにしました。もうここでタイトル回収です。
ルックスをプラス5からマイナス255にすることで、ボーナス13000ゲットしました。
ただそれだけじゃ足りないということで、「特記事項」に弱点を書くことでボーナスを100兆5100まで増やしました。
よくわからない設定もありますが、その中でも「女の子の肌に直接触れたら1秒間でHPの1割が消耗、女の子とエッチをしたら無限の苦しみを味わい四散して死ぬ」という設定が目を引きます。無限の苦しみって永遠に苦しむってことでしょうか。ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムでしょうか。

大したツッコミではないのですが、ボーナスが100兆以上あるなら、ルックス普通にして13000くらい戻してもよかったですよね。と思います。
タイトルの根幹部分ですが、そのタイトル回収のとこで手に入れたボーナスってあんまし意味なかったってことなんですよね。
まぁ主人公が本気にしておらず、ふざけてやったことなので、物語的におかしいっていうことではありませんが。

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714092749j:plain

異世界とやらに期待をしたわけじゃない、ただ」→「釣られてやるか」
「けれどもし本当に「第二の人生」が望めるなら」→「釣られてやるか」
この流れでふざけるって、結局オマエは何をしたかったのかと

 

第2話:街

街に辿り着いた4人。
主人公はソロで生きていこうとしますが、仲間の聖華さんとなんやかんやあって、結局パーティーを抜けるのはやめました。

 

仲間のひとり聖華さんを掘り下げる回でした。
クールなキャラに見せかけて世間知らずの天然キャラという、なかなかにかわいらしい女性です。
それにメチャクチャいい人で、ブサメン主人公に辛く当たるかと思いきや全くそんな素ぶりも見せず、ハンバーガーや宿代、夕飯代まで奢ってくれました。
まさに理想的なヒロイン像です。
作者は聖華さんをツンデレキャラにしようとしたのかなと思うのですが、むしろ主人公の方がツンデレっぽいんですよね。

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714092913j:plain

オマエも素直に助けろよ

 

第3話:案内人

恭志郎という怪しげな転生者によるガイドで洞窟の探索にきた4人。
ボス部屋の手前まで辿り着いたところで、恭志郎の勧めで飲み会が始まりました。

 

この恭志郎、悪い奴かと思わせといて「実は悪い奴じゃないんじゃ」と思わせといて結局悪い奴、ということでした。
この流れに、なんとなくモヤっとしたのは私だけでしょうか。
意味のない回り道をさせられたような感覚です。
あと、恭志郎と出会ってすぐに、「怪しすぎる、というか十中八九初心者狩りだ」と主人公が思うんですが、その根拠がいまいちわからなかったのもモヤっとしました。
あと、恭志郎に「ここは安全ポイントでな」と言われて案内された部屋が、自分がスキルを使えば半径200kmを消滅させることができるというのを根拠に「安全ポイントなんて存在しない」=「恭志郎ダウト」と思ったのもモヤっとしました。
恭志郎からしたら「そんなチートスキル知らねえよ」と言ったところでしょう。

まぁギャグ漫画なので細かいとこにツッコミを入れてもしょうがないんですが、この漫画、なんとなくモヤっとするものがずっとあるので細かいところにも引っかかるんですよね。
で、そのずっとモヤっとする理由を次の話で説明します。

 

第4話:誠司さん

睡眠薬で眠らせて、その間に4人を縛り上げて売り飛ばそうと目論んでいた恭志郎でしたが、主人公だけでなく誠司さんも眠ってはいませんでした。
本気を出せない主人公を守るため誠司さんがスキルを発動させます。

 

ずっとそうなんですが、主人公がなぜか強いことを隠そうとするんですよね。
「なろう漫画」では口先だけの「目立ちたくない」という主人公はよく見るのですが、そういった理由説明すらないので、「何で?」というモヤっとがずっとあります。
強いことを隠すため戦闘にもろくに参加しないですし、戦闘に参加しないことに対して仲間が特に文句も言わないのも「何で?」と思います。

他にも「女に触ったらダメージを受ける」「手に入れられる金は1万分の1になる」の説明もしないので、ややこしいことも起きます。
「女に触ったらダメージを受ける」は、その弱点を悪人に利用されたら危険だ、という理由が考えられますが、それならそう読者に説明しておくべきだと思います。

恭志郎を怪しいと思った時にそのことを言わないでいたのも「何で?」なんですよね。
「確信が持てないので言わないでおこう」という理由ならまぁわかるのですが(それでも相談しろよ、とはなりますが)、「十中八九初心者狩りだ」とまで思っていたのに、「誠司さんに任せよう」と心の中で思うだけです。

この漫画、周りのキャラがボケて、主人公が心の中でツッコむ、という手法を使ってます。
それはそれでいいのですが、主人公が言うべきことを秘密にしている状態で、心の中でツッコミだけ入れてるのってなんかバカにしてる感じがするんですよね。
「俺だったら簡単に倒せるのになぁ」とか
「怪しい奴なのになぁ」とかそんなイメージです。
主人公がブサメンで女とイチャコラできないから許せてますけど、いつものナローシュ(なろう漫画の主人公)だったら結構イヤな奴だと思います。

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

f:id:gaucheblog:20200714093203j:plain

いやアンタも戦えよ
と、ツッコミ役である主人公にツッコみたくなるシーンが結構あります。

まぁなんだかんだで助けには入るので、悪いヤツではないんですけど。
最強主人公は、わざとピンチを作り出してから助けに入る、というマッチポンプ的展開にどうしてもなっちゃいます。

 

総評と今後

なんだか辛口レビューになってしまいましたが、ギャグ漫画として楽しくないわけではないです。
聖華さんはかわいらしいですし、ほのぼのします。
誠司さんも頭はいいのに天然キャラというほのぼのキャラです。
もう一人のヒロインのロリっ子は名前もまだ出てきてないですが多分いい人です。
全員自己紹介したにも関わらず彼女の名前だけ言わなかったのは、もしかしたら現世で主人公の知り合いだったとかいう展開があるのでしょうか。

ぶっちゃけ3人が登場した時は、イケメンに酷い目に合わされた後に強くなってざまぁして俺TUEEEするのかなと思ったのですが、全然そんなことにはならなかったですね。
それどころか皆良い人ばかりで、ブサメンなうえ愛想も悪い主人公にも優しく接してくれるという「主人公が一番イヤな奴じゃん、ブサイクのくせに」ということになってしまいました。

そういうこともあって、ぶっちゃけ今のところブサメンであるデメリットはそんなに感じられないです。
それよりも、主人公が調子にのったりしてもあんまり不快感にならないというメリットをもたらしていますね。
イケメンがやったら鼻につくことでもブサメンなら許せるという、これが「ただしブサメンに限る」というヤツでしょうか。

絵もうまくてかわいらしいし、仲間もいい人ばかりだし、最強主人公で安心感もあるし、ハーレム展開もなさそうだしで、読みやすい漫画だと思います。