【漫画レビュー】シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
作品名:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説
漫画:草野ほうき 原作:三島千廣 キャラクター原案:転
連載誌/レーベル:MFC
出版社:KADOKAWA
ジャンル:少年マンガ
ebookjapan 紹介文より山登りの途中、谷へと滑落した青年は、目を覚ますとシロクマの体で異世界の深い森に。人族に追われるウェアウルフの姉妹を保護した彼は、強靭な肉体とサバイバルの知識を駆使し、危険な森での生活を切り拓いていく。
「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。
登場人物
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
クマキチ
主人公。28歳。登山中に死んで、異世界のシロクマに転生しました。
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
ルルティナ・ベルベーラ
ヒロイン。「ウェアウルフ」という亜人で、6姉妹の長女です。
あらすじ&レビュー
第1話:強くてニューゲーム
登山中に滑落して死んだ主人公は、異世界の森でシロクマに転生しました。
そして人間の騎士達に襲われている犬耳ヒロインを助けました。
主人公の性格なのか、作者の性格なのか、細かいことを気にせずに話が進んでいきます。
主人公がシロクマに転生したことも、やけに飲み込みが早いというか、割とすぐに受け入れます。
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
ここらへんはギャグとして描いている部分もあるのかもしれませんが、結構シュールなんじゃないでしょうか。
シロクマ=ホッキョクグマであれば「山の生物」ではないですしね。
ボケているとして、そこに気付いて笑える読者はどのくらいいるんでしょう。
その後、騎士達や犬耳少女を見ても特に不思議に思うこともないので、「主人公はいつ異世界だって気付いたんだ?」と気にしながら読み返しましたが、全くわかりませんでした。
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
「これはまずい、28のオッサンが少女の身体に触るって性犯罪事案だよなぁ」
気にするとこそっちですか?異世界ですしシロクマですし、やっぱりこれもシュールなボケなのかな。
第2話:ウェアウルフの娘
6本足の巨大熊と遭遇し、戦った末に撃退します。
その後、前回助けたヒロインとその妹たちが主人公のところを訪れ、一緒に暮らすことになりました。
前回、騎士達に対して無双した時点で「おや?」と思いましたが、今回6本足の巨大熊と戦って圧勝したことで、主人公はシロクマだから強いわけではなく、シロクマ以上の力を持っていることが明らかになりました。
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
このサイズ差では普通なら圧勝どころか勝つこと自体が不思議ですもんね。
まぁ主人公は相変わらず疑問をもたないですが。
というか普通に人語を喋りますし、道具を使いますし、見た目以外シロクマ要素ないです。
ヒロインの話で、「エルム族という見た目クマそっくりの亜人がいる」という情報が出てくるので、主人公はシロクマじゃなくてエルム族っていう可能性もありそうですが、結局わかりません。主人公も追及しないですし。
「じゃあオレはエルム族なのかな」くらい思わないもんですかね。
そもそも何の躊躇もなく人語で会話し始めますし、マジでこの主人公の気にしなさすぎさがすごいです。
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異世界で初の会話シーンがこれですからね。それ以前にも喋ってはいましたが独り言でした。
シュールな笑いなのかもしれないですが、シロクマに転生した主人公の名前が「クマキチ」ですし、作者が適当っていうだけかもしれません。
第3話:道具をパクる
ヒロインたちのために家を作ろうと思った主人公は、大工道具を手に入れようと廃屋にやってきました。
すると人間達がやってきたので隠れていると、蛇のバケモノが現れ人間達を襲い始めたので助けました。
大きな熊でさえ余裕で一飲みにできそうな大きさで、さらに大地をも溶かす毒を吹き出す毒蛇に対して、なんだかんだでケガ一つせず勝利します。
その後、人間たちから「伝説の森の守護神」と思われたため、主人公もそれに乗っかって色々と指示しました。
第1巻の山場なのかもしれませんが、なんか地味に感じましたね。
第4話:木材伐採
家を作りながらヒロイン姉妹たちと平和な毎日を送ります。
だんだんと性的な匂いが強まってきました。
ていうか、これハーレムですね。
「なろう漫画」ではよくあるパターンですが、主人公にはその気がないように振る舞わせておいて、結局ハーレムを作るっていうのほんと気持ち悪いです。
でもこういうのを喜ぶ読者がいるんだから「まぁ好きにやれば」というところですけど、ハーレム要員が姉妹っていうのはやっぱり気持ち悪いです。
それに主人公の見た目がシロクマっていうのもなんか気持ち悪いです。
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
亜人や獣人がいる世界では、おかしなことではないのかもしれませんが、現代に生きる一般的な読者の感性としてはどうしてもついていけず、シロクマに欲情するヒロイン達も気持ち悪いですし、シロクマの性的なシーンを想像するのも気持ち悪いです。
よく見ると、シロクマのつぶらな瞳も逆に気持ち悪いというか、なんか怖いです。
出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より
この絵とかなんか怖くないですか?
デスゲームとかさせられそうな気がするのは私だけでしょうかw
総評と今後
なんというか、見どころが何なのかよくわからない作品でした。
「シロクマに転生した」というインパクトある設定にもかかわらず、最初に読み終わった時「なんか普通だなぁ」という感想になってしまいました。
シロクマであるはずの主人公が、人間の言葉を喋るし、道具も使えるし、人間がやることとかわらない行動をとり、そしてそれら全てのことに主人公が何の疑問も持たず「できて当たり前」という態度をとるので、シロクマだからどうこうっていう話になってないんですよね。
「肉弾戦が強い」という特徴はありますが、実際のシロクマよりも遥かに強いですし、ほんとにシロクマであると言える部分は見た目だけです。
・シロクマなのに人間と変わらない行動をする
・主人公が何事にも動じない
ここらへんはもしかしたらシュールな笑いとしてあえてやっているのかもしれませんが、肝心の本筋が、見た目がシロクマなだけの主人公が、たまたま遭遇した敵と肉弾戦で戦って、ケモミミの6姉妹とイチャイチャ生活をする、という「なろう漫画」の中でも地味目なストーリーとなってしまっているので、「転生したらシロクマだった」というインパクトだけの出オチに感じてしまいます。
今後期待できる要素としては、「見た目がシロクマ」ということで、周りから「伝説の白き守護神」と思われるという設定がありますが、1巻終了時点ではただただ周りから神様扱いされて主人公が気持ち良くなる、という状況しか見えてこないですね。