かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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作品名:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!?

原作:年中麦茶太郎 作画:iimAn&惟丞 キャラクター原案:りいちゅ

連載誌/レーベル:ドラゴンコミックスエイジ

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 紹介文より

一流の剣士を両親に持ち、自身も剣士を夢見て冒険者学園に入学した少女、ローラ。入学時に行われる剣の適性測定で驚異の数値を出し喜ぶも、ついでに測った魔法適性が全属性で9999を叩き出してしまい……!?

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。
今回だいぶ辛口かもしれませんが、「面白くないから」というよりも「期待していたのに」という思いからなので、ご容赦ください。

 

登場人物

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ローラ・エドモンズ
主人公。9歳。ロリっ子主人公。
剣士を目指してましたが魔法の才能が凄まじかったので魔法学科に入れられました。

 

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アンナ・アーネット
剣でのライバル。戦士学科生。クール系剣士。

 

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シャーロット・ガザード
魔法でのライバル。魔法学科生。お嬢様系魔法使い。

 

あらすじ

「前衛」一家に生まれ、「魔法を使う奴は軟弱者で卑怯者」と考える父に育てられた主人公が、剣士になるべく入学した冒険者学園でテストを受けたところ、なんと桁外れの魔法の才能があることが発覚してしまい……
剣士を目指していた主人公は、はたしてどんな学園生活を送ることになるのでしょう。

 

レビュー

つかみは面白かったんですけどねぇ。
面白さのピークがそこでした。第1話の真ん中くらいです。
正直それ以降はコンセプトがブレてるというか薄いというか、「出オチしか考えてなかったんじゃないか」という気さえします。
どういうことなのか、順を追ってレビューしたいと思います。

 

第1話では、泣き叫んだ主人公

剣士を目指して冒険者学園に入学した主人公でしたが、適性テストでとてつもない魔法の才能があることが発覚します。
泣き叫ぶ主人公をよそに、魔法学科への転籍が決まってしまいました。

学園一の剣士になることを夢見て目を輝かせる主人公。
剣の才能が高いことがわかって喜ぶ主人公。
しかし魔法の才能はそれとは比較にならないくらい桁外れに高いことが発覚。
あまりの数値に固まる人々。
あっという間に魔法学科に転籍が決定し、泣き叫び気絶する主人公。
剣士と思いきや魔法使いになってたという悪夢にうなされる主人公。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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と、なかなか良い流れでした。
この漫画の特徴は、このように、主人公は剣士になりたい=魔法使いにはなりたくないのに物凄い魔法の才能を持っていた、ということだと思うんです。タイトルもそういう感じですよね?
ということは、主人公が「魔法使いでもいいや」と思ったら魅力は半減どころじゃなく下がってしまうんです。
では、第2話以降どうなったのかを見てみましょう。

 

第2話にして、魔法にハマりかける

しぶしぶ魔法学科に転籍した主人公でしたが、いざ魔法を使ってみたところ、スゴイ魔法が使えたので「病みつきになっちゃうかも……」となります。

第2話にして、早くも私の期待は崩れかけます。
他の人の魔法を見て「これが魔法……なんだかかっこいい!」と思ったり、「おおッ、なんか燃えてきた!」となったり、自分が魔法を使う時も結構ノリノリだったり、最終的に「これは、病みつきになっちゃうかも……」ですからね。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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読んでる方も普通に「じゃあ魔法使いになったら?」と思ってしまいましたよ。
それでもまだ、「やっぱり剣士がいい」と思い直して、魅力を取り返せる可能性は残っている状態ではあります。

 

第3話、主人公をライバル視するキャラが出てくるが……

魔法学科にて「最強」を目指す「シャーロット」という女キャラが登場します。
主人公と同室になるものの主人公をライバル視し、いきなり敵宣言します。
が、なんだかんだで仲良くなりイチャイチャするだけで終わりました。

「魔法なんて興味ないのに魔法の才能がスゴイ」という主人公の設定を生かしたライバルキャラかと思いきや、ただイチャイチャするだけのヒロインキャラでした。
登場時点では「魔法使い最強は私ですわ!」『魔法なんて興味ないのになー』スゴ魔法ドカン「悔しいいい!」みたいな展開になるとマジで思いました。
が、全く違いました。
『シャーロットさんの魔法が素敵だったから』「嫉妬した私が悪かったですわ、ごめんなさい、最高のライバルになりましょう」みたいなホンワカ展開になります。
それどころか、お風呂でもベッドでもイチャイチャするので、当たってるかどうかはともかく、「この漫画は女の子がイチャイチャするのを萌え目線で楽しむための漫画か」と思うお話でした。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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第4話で、やっぱり剣の修行がしたい!となるが……

放課後、自主練をしている戦士学科の生徒たちを見て「剣の修行がしたいです!」と言い出す主人公。
そして、「勝ったら放課後の剣の練習を許可、負けたら魔法一筋」という条件で、魔法の先生と対戦することになりました。

ようやく剣の方に路線を戻すことになるのかなと淡い期待を抱く回となりました。
しかし意外にも戦士学科の先生が常識人でした。

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まぁ普通に考えたらそうですけども。
戦士学科と魔法学科で主人公を取り合う展開とか面白そうだったんですが。。。

そして、放課後だけでも剣の練習ができるように、主人公と魔法の先生が魔法で戦って決めるということになります。
ぶっちゃけここは、魔法を使う先生に対し、主人公は剣を使って戦う、という展開のほうがよかったなぁと思います。
剣では苦戦してたのに、とっさに魔法を使ったらあっさり勝てちゃって「私は魔法なんてイヤなのにー!」みたいなオチにしたら私が期待してた通りの流れでした。

 

第5話、魔法対決の結果……

「剣の練習の許可」を賭けた魔法勝負は、主人公の勝利となりました。
これで剣の道へ進める、と思いきや「魔法を使うのが楽しかったです!」となり、主人公は今後、剣と魔法の両方(どちらかというと魔法寄り?)の道を進むことになりました。

これで完全に剣と魔法の両方を頑張る少女のお話になりました。
私が期待していた見どころは完全に消滅したと言っていいでしょう。

それから、この第5話は魔法の先生に焦点をあてた話作りとなっているんですが、

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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こんな人物設定になっています。
さらに、主人公に負けて落ち込む魔法の先生を学長が励ましにきます。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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300歳くらいの学長を見た目若い女の子にするのがアレですね。
これはもう、色々なタイプの可愛い女の子たちが学園を舞台に、競い合い、励まし合いながら成長していくという、完全にそんな感じの日常系漫画ですね。

 

総評と今後

レビューでもさんざん言った通り、タイトルと第1話で「面白そう」と思えば思うほど、その後の展開にはガッカリすると思います。
「剣士を目指して入学した」のはホントなわけなので、別にタイトル詐欺とは言えないかもしれません。
ただ問題は「何がウリの作品なのか」っていうことです。
「剣も魔法も頑張って学ぶ少女のお話」なんて紹介されても、特徴も何も感じないと思います。
だからこそ「剣士を目指して入学したのに、魔法の才能の方があった」っていうのをウリにタイトルを作り、物語もスタートさせてるわけですよね。
じゃあ剣士を目指し続けないと、そのウリは維持できないはずなんです。
主人公が「魔法も頑張ろう」と思った時点で、「剣と魔法の両方を頑張る少女の話」でしかなくなってしまうんです。
なので、この漫画が第3話にして「女の子同士のイチャイチャを楽しむ萌え漫画」の要素に頼ることになったのは、用意していたウリがなくなってしまったことの表れだと思います。
ウリがなくなったこの漫画は、「可愛い女の子たちが和気あいあいと学園生活を送る日常系漫画」でしかないわけです。
正直、この分野は個人的に全く興味のない分野なので評価のしようもありません。

まぁ随分と辛口になってしまいましたが、それだけ第1話までは期待できたっていうことだと思ってください。
2巻以降読んでないので、なんらかの方法で路線変更していたら申し訳ありません。