かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】異世界チート魔術師 1巻

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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作品名:異世界チート魔術師

原作:内田健(ヒーロー文庫主婦の友社) 漫画:鈴羅木かりん キャラクター原案:Nardack

連載誌/レーベル:角川コミックス・エース

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 紹介文より

普通の高校生から、いきなり最強チートな魔術師に。火を。風を。夢のような超常現象を自らの手で生み出す感動。想像をはるかに超える圧倒的な身体能力。平和な国からやってきた太一と凛の異世界での冒険譚が始まる。

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。

 

登場人物

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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西村 太一(にしむら たいち)
主人公。高校生。運動神経とセンスはいいらしいが、面倒くさがりの帰宅部

 

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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吾妻 凛(あづま りん)
ヒロイン。高校生。小さい頃からテニスに打ち込みジュニアでは全国区の実力者。
それでいて出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいるモデル体型の美少女。

 

あらすじ&レビュー

プロローグ:異世界転生まで

自称「モテない男子代表」の主人公「西村 太一」と、ヒロイン「吾妻 凛」は、光に包まれ、気が付くと大草原のど真ん中にいました。

「モテない男子代表」と自己紹介した主人公ですが、実際は運動神経とセンスが良いらしく、高スペックのヒロインから好意を持たれている、という完全にリア充でした。
「お前よくモテない男子代表とか自己紹介できたな」と鼻につきます。
しかし、性格は元気いっぱいで友情を大事にする、いかにも少年漫画の王道的主人公といった感じでした。

ちなみに、主人公の友人という主要人物っぽいキャラクターが登場してるんですが、彼は異世界には来ませんでした。

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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さすがにここまで紹介されて、これっきりってことはないんじゃないかと思うんですが、どうなるんでしょうね。

 

第1話:異世界にて

主人公とヒロインは、めちゃくちゃ巨大な馬の魔物に襲われます。
絶体絶命のピンチを迎えますが、突如現れた3人組の冒険者に助けてもらいました。


絶体絶命のピンチで主人公は、「俺が囮になるから、その隙に走れ」という、少年漫画の主人公としては100点満点の行動をとります。

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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咀嚼うんぬんの話はわざわざ言う必要はないですけどね。そりゃヒロインもこんな表情になりますよ
助けてくれた冒険者たちも普通に良い人達でした。
ぶっちゃけ「良い人すぎて逆に怪しい」と思いましたが、普通に良い人達でした。
特に何か取り引きをするわけでもなく、街まで連れて行ってくれて、当面の生活費まで貸してくれました。

 

冒険者ギルド

主人公とヒロインは、冒険者ギルドで魔力の適性検査を行ったところ、とんでもない素質を持っていることが判明しました。

冒険者ギルドで、「水晶に触れることによって魔力を計る」という異世界モノでは最もポピュラーな検査を受けたところ、

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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ギルドの人によると「非常に稀有」らしいのですが、異世界転移モノの主人公ではよくある結果ですね。
ただ、そもそも主人公とヒロインが2人1組で異世界転生するってのが珍しいので、このことがどう作品に色をつけていくのかは楽しみではあります。

 

第2~3話:修行

特殊すぎてギルドでは手に負えないということで、「レミーア」という世界屈指の魔術師のもとで修業をすることになりました。
そして3週間後、修行は無事終了。

かつては手も足も出なかった馬の魔物を瞬殺できるほどに強くなりました。

「なろう漫画」ではこういう修行展開はあんまりないかもしれませんが、少年漫画と言えば修行ですよね。
と、その前に、まずは2人とも初めての魔法を使ってみます。
ヒロインは、ガスバーナーをイメージすることで、異世界人もビックリの安定感のある青い炎を出すことができた、という「なろう漫画」あるあるを披露します。
主人公は、身体強化魔法で地面にクレーターを作ってしまう、というこれまたあるあるネタを披露します。

ちなみに、修行シーンは省略されました。

 

第4話:事件(前編)

街に戻って冒険者になった主人公とヒロインでしたが、その翌日に、たまたま宿泊した宿屋の娘が何者かに攫われるという事件が発生します。
3人組の冒険者が助けに行きますが、その3人もピンチになってしまい、あわやと言うところで主人公とヒロインが助けに入りました。

第1巻の山場となるエピソードです。
「なろう漫画」の主人公としてはだいぶ遅くなりましたが、ここでようやく主人公が無双する俺TUEEEシーンが見られるか、といったところで宿屋の娘を人質にされてしまいました。

 

第5話:事件(後編)

主人公とヒロインは二手に分かれることになり、ヒロインの方は危なげなく敵を倒すことに成功しますが、主人公の方は宿屋の娘を人質にとられ、抵抗できずサンドバッグにされてしまいました。
しかしヒロインが到着し人質を助けたことにより、本気を出せるようになった主人公が敵を倒し、事件は無事解決しました。

修行の時から薄々と感じてはいたのですが、ヒロインが色々な魔法を使えるのに対して、主人公ができるのは身体強化くらいなので、主人公の方が魔力は大きいという設定なのですが、使い勝手が悪い感じがします。
まぁ主人公が手も足も出せずにいたのは人質がいたからなので、しょうがないっちゃしょうがないのですが、ヒロインだったら最初から魔法で解決できたんじゃないかな、と思えてしまいます。
「打たれ強さ」と「回復力」と「パンチ力」という、一通りの強さは見せつけた形にはなっているのですが、主人公の凄さがいまいち読者には伝わってこなかったですね。
演出と画力次第では、もしかしたらこんなんでもなんとかなったのかもしれませんが、ヒロインが助けに来るまでフルボッコにされる主人公の姿は、打たれ強さよりも、手も足も出せないダサさの方が個人的には上回ってしまいました。

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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傷みを感じないという設定でもあれば印象は違ったかもしれませんが、いくら後で全回復できると言っても、この時点で痛い思いをしている以上は強がりにしか見えません。

他にも色々ツッコミたいことはあるのですが、一番気になったところだけ紹介します。
作者がどういう考えでこうしたのかわかりませんが、「バティスタ」っていう、主人公をボコボコにした巨人族みたいなヤツの処遇を、

出典:異世界チート魔術師 1巻より

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これで済ませたのが納得いきませんでした。
「犯罪に手を貸したのは強いヤツと戦いたいだけだったから」っていう理由だと罪が無いっていう考えなんでしょうか。
これは作者の道徳観が気になるところですね。
ちなみに他の犯人たちは「ギルドに預けた」らしいのですが、具体的にどうなったかがわからないので、それも若干モヤっとするところです。

 

総評と今後

「なろう漫画」の異世界転移モノをベースに、少年漫画の王道を組み合わせた漫画、という感じの作品でした。
異世界に来てすぐに強いわけではなく、修行を通して強くなり、敵との戦闘もピンチになってからヒロインと協力して勝利するという、だいぶ丁寧なストーリー作りをしているなと感じました。
タイトルで「チート」をうたっている割には、ただただ主人公に無双させるだけのストーリーにはなっておらず、「友情・努力・勝利」の少年漫画の王道を意識したように思えます。
主人公のキャラクターも「ヤレヤレ系」ではなく、「積極的に人助けをする熱い男」という感じですし、古き良き少年漫画の主人公といった感じです。
ヒロインも明確になってるので、ハーレム展開にはならないように思いますし、「元の世界に戻る」という明確な目標を作っているので、目的の無いのんびり異世界生活という感じにもならないんじゃないでしょうか。

と、これだけ聞くと、だいぶ好感を持てる作品のように思えますが、面白いかどうかはまた別の話になります。
個人的には、どこかで見たようなキャラクターとストーリーで、先の展開もなんとなく読めるし、丁寧に話を進めることも、好感は持てども「かったるい」と思う要素となってしまったように感じました。
異世界の設定もよくあるファンタジー世界ですし、「先が気になる」と思う要素が少ないまま話だけが進行していった感じがします。

一応、終盤に出てきた敵はいい感じでゲスかったですし、裏で手を引いている存在もいるようなので、2巻以降は話が広がって面白くなる可能性はあると思います。
まぁ1巻は主人公の紹介と今後の準備にページの大部分を使ってしまったので、よくあるパターンになってしまったのかもしれませんね。

 

 

【漫画レビュー】シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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作品名:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説

漫画:草野ほうき 原作:三島千廣 キャラクター原案:転

連載誌/レーベル:MFC

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 紹介文より

山登りの途中、谷へと滑落した青年は、目を覚ますとシロクマの体で異世界の深い森に。人族に追われるウェアウルフの姉妹を保護した彼は、強靭な肉体とサバイバルの知識を駆使し、危険な森での生活を切り拓いていく。

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。

 

登場人物

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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クマキチ
主人公。28歳。登山中に死んで、異世界のシロクマに転生しました。

 

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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ルルティナ・ベルベーラ
ヒロイン。「ウェアウルフ」という亜人で、6姉妹の長女です。

 

あらすじ&レビュー

第1話:強くてニューゲーム

登山中に滑落して死んだ主人公は、異世界の森でシロクマに転生しました。
そして人間の騎士達に襲われている犬耳ヒロインを助けました。

主人公の性格なのか、作者の性格なのか、細かいことを気にせずに話が進んでいきます。
主人公がシロクマに転生したことも、やけに飲み込みが早いというか、割とすぐに受け入れます。

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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ここらへんはギャグとして描いている部分もあるのかもしれませんが、結構シュールなんじゃないでしょうか。
シロクマ=ホッキョクグマであれば「山の生物」ではないですしね。
ボケているとして、そこに気付いて笑える読者はどのくらいいるんでしょう。

その後、騎士達や犬耳少女を見ても特に不思議に思うこともないので、「主人公はいつ異世界だって気付いたんだ?」と気にしながら読み返しましたが、全くわかりませんでした。

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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「これはまずい、28のオッサンが少女の身体に触るって性犯罪事案だよなぁ」
気にするとこそっちですか?異世界ですしシロクマですし、やっぱりこれもシュールなボケなのかな。

 

第2話:ウェアウルフの娘

6本足の巨大熊と遭遇し、戦った末に撃退します。
その後、前回助けたヒロインとその妹たちが主人公のところを訪れ、一緒に暮らすことになりました。

前回、騎士達に対して無双した時点で「おや?」と思いましたが、今回6本足の巨大熊と戦って圧勝したことで、主人公はシロクマだから強いわけではなく、シロクマ以上の力を持っていることが明らかになりました。

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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このサイズ差では普通なら圧勝どころか勝つこと自体が不思議ですもんね。
まぁ主人公は相変わらず疑問をもたないですが。
というか普通に人語を喋りますし、道具を使いますし、見た目以外シロクマ要素ないです。
ヒロインの話で、「エルム族という見た目クマそっくりの亜人がいる」という情報が出てくるので、主人公はシロクマじゃなくてエルム族っていう可能性もありそうですが、結局わかりません。主人公も追及しないですし。
「じゃあオレはエルム族なのかな」くらい思わないもんですかね。
そもそも何の躊躇もなく人語で会話し始めますし、マジでこの主人公の気にしなさすぎさがすごいです。

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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異世界で初の会話シーンがこれですからね。それ以前にも喋ってはいましたが独り言でした。
シュールな笑いなのかもしれないですが、シロクマに転生した主人公の名前が「クマキチ」ですし、作者が適当っていうだけかもしれません。

 

第3話:道具をパクる

ヒロインたちのために家を作ろうと思った主人公は、大工道具を手に入れようと廃屋にやってきました。
すると人間達がやってきたので隠れていると、蛇のバケモノが現れ人間達を襲い始めたので助けました。

大きな熊でさえ余裕で一飲みにできそうな大きさで、さらに大地をも溶かす毒を吹き出す毒蛇に対して、なんだかんだでケガ一つせず勝利します。
その後、人間たちから「伝説の森の守護神」と思われたため、主人公もそれに乗っかって色々と指示しました。
第1巻の山場なのかもしれませんが、なんか地味に感じましたね。

 

第4話:木材伐採

家を作りながらヒロイン姉妹たちと平和な毎日を送ります。

だんだんと性的な匂いが強まってきました。
ていうか、これハーレムですね。
「なろう漫画」ではよくあるパターンですが、主人公にはその気がないように振る舞わせておいて、結局ハーレムを作るっていうのほんと気持ち悪いです。
でもこういうのを喜ぶ読者がいるんだから「まぁ好きにやれば」というところですけど、ハーレム要員が姉妹っていうのはやっぱり気持ち悪いです。
それに主人公の見た目がシロクマっていうのもなんか気持ち悪いです。

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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亜人や獣人がいる世界では、おかしなことではないのかもしれませんが、現代に生きる一般的な読者の感性としてはどうしてもついていけず、シロクマに欲情するヒロイン達も気持ち悪いですし、シロクマの性的なシーンを想像するのも気持ち悪いです。
よく見ると、シロクマのつぶらな瞳も逆に気持ち悪いというか、なんか怖いです。

出典:シロクマ転生 森の守護神になったぞ伝説 1巻より

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この絵とかなんか怖くないですか?
デスゲームとかさせられそうな気がするのは私だけでしょうかw

 

総評と今後

なんというか、見どころが何なのかよくわからない作品でした。
「シロクマに転生した」というインパクトある設定にもかかわらず、最初に読み終わった時「なんか普通だなぁ」という感想になってしまいました。
シロクマであるはずの主人公が、人間の言葉を喋るし、道具も使えるし、人間がやることとかわらない行動をとり、そしてそれら全てのことに主人公が何の疑問も持たず「できて当たり前」という態度をとるので、シロクマだからどうこうっていう話になってないんですよね。
「肉弾戦が強い」という特徴はありますが、実際のシロクマよりも遥かに強いですし、ほんとにシロクマであると言える部分は見た目だけです。
・シロクマなのに人間と変わらない行動をする
・主人公が何事にも動じない
ここらへんはもしかしたらシュールな笑いとしてあえてやっているのかもしれませんが、肝心の本筋が、見た目がシロクマなだけの主人公が、たまたま遭遇した敵と肉弾戦で戦って、ケモミミの6姉妹とイチャイチャ生活をする、という「なろう漫画」の中でも地味目なストーリーとなってしまっているので、「転生したらシロクマだった」というインパクトだけの出オチに感じてしまいます。

今後期待できる要素としては、「見た目がシロクマ」ということで、周りから「伝説の白き守護神」と思われるという設定がありますが、1巻終了時点ではただただ周りから神様扱いされて主人公が気持ち良くなる、という状況しか見えてこないですね。

 

【漫画レビュー】剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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作品名:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!?

原作:年中麦茶太郎 作画:iimAn&惟丞 キャラクター原案:りいちゅ

連載誌/レーベル:ドラゴンコミックスエイジ

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 紹介文より

一流の剣士を両親に持ち、自身も剣士を夢見て冒険者学園に入学した少女、ローラ。入学時に行われる剣の適性測定で驚異の数値を出し喜ぶも、ついでに測った魔法適性が全属性で9999を叩き出してしまい……!?

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。
今回だいぶ辛口かもしれませんが、「面白くないから」というよりも「期待していたのに」という思いからなので、ご容赦ください。

 

登場人物

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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ローラ・エドモンズ
主人公。9歳。ロリっ子主人公。
剣士を目指してましたが魔法の才能が凄まじかったので魔法学科に入れられました。

 

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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アンナ・アーネット
剣でのライバル。戦士学科生。クール系剣士。

 

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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シャーロット・ガザード
魔法でのライバル。魔法学科生。お嬢様系魔法使い。

 

あらすじ

「前衛」一家に生まれ、「魔法を使う奴は軟弱者で卑怯者」と考える父に育てられた主人公が、剣士になるべく入学した冒険者学園でテストを受けたところ、なんと桁外れの魔法の才能があることが発覚してしまい……
剣士を目指していた主人公は、はたしてどんな学園生活を送ることになるのでしょう。

 

レビュー

つかみは面白かったんですけどねぇ。
面白さのピークがそこでした。第1話の真ん中くらいです。
正直それ以降はコンセプトがブレてるというか薄いというか、「出オチしか考えてなかったんじゃないか」という気さえします。
どういうことなのか、順を追ってレビューしたいと思います。

 

第1話では、泣き叫んだ主人公

剣士を目指して冒険者学園に入学した主人公でしたが、適性テストでとてつもない魔法の才能があることが発覚します。
泣き叫ぶ主人公をよそに、魔法学科への転籍が決まってしまいました。

学園一の剣士になることを夢見て目を輝かせる主人公。
剣の才能が高いことがわかって喜ぶ主人公。
しかし魔法の才能はそれとは比較にならないくらい桁外れに高いことが発覚。
あまりの数値に固まる人々。
あっという間に魔法学科に転籍が決定し、泣き叫び気絶する主人公。
剣士と思いきや魔法使いになってたという悪夢にうなされる主人公。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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と、なかなか良い流れでした。
この漫画の特徴は、このように、主人公は剣士になりたい=魔法使いにはなりたくないのに物凄い魔法の才能を持っていた、ということだと思うんです。タイトルもそういう感じですよね?
ということは、主人公が「魔法使いでもいいや」と思ったら魅力は半減どころじゃなく下がってしまうんです。
では、第2話以降どうなったのかを見てみましょう。

 

第2話にして、魔法にハマりかける

しぶしぶ魔法学科に転籍した主人公でしたが、いざ魔法を使ってみたところ、スゴイ魔法が使えたので「病みつきになっちゃうかも……」となります。

第2話にして、早くも私の期待は崩れかけます。
他の人の魔法を見て「これが魔法……なんだかかっこいい!」と思ったり、「おおッ、なんか燃えてきた!」となったり、自分が魔法を使う時も結構ノリノリだったり、最終的に「これは、病みつきになっちゃうかも……」ですからね。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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読んでる方も普通に「じゃあ魔法使いになったら?」と思ってしまいましたよ。
それでもまだ、「やっぱり剣士がいい」と思い直して、魅力を取り返せる可能性は残っている状態ではあります。

 

第3話、主人公をライバル視するキャラが出てくるが……

魔法学科にて「最強」を目指す「シャーロット」という女キャラが登場します。
主人公と同室になるものの主人公をライバル視し、いきなり敵宣言します。
が、なんだかんだで仲良くなりイチャイチャするだけで終わりました。

「魔法なんて興味ないのに魔法の才能がスゴイ」という主人公の設定を生かしたライバルキャラかと思いきや、ただイチャイチャするだけのヒロインキャラでした。
登場時点では「魔法使い最強は私ですわ!」『魔法なんて興味ないのになー』スゴ魔法ドカン「悔しいいい!」みたいな展開になるとマジで思いました。
が、全く違いました。
『シャーロットさんの魔法が素敵だったから』「嫉妬した私が悪かったですわ、ごめんなさい、最高のライバルになりましょう」みたいなホンワカ展開になります。
それどころか、お風呂でもベッドでもイチャイチャするので、当たってるかどうかはともかく、「この漫画は女の子がイチャイチャするのを萌え目線で楽しむための漫画か」と思うお話でした。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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第4話で、やっぱり剣の修行がしたい!となるが……

放課後、自主練をしている戦士学科の生徒たちを見て「剣の修行がしたいです!」と言い出す主人公。
そして、「勝ったら放課後の剣の練習を許可、負けたら魔法一筋」という条件で、魔法の先生と対戦することになりました。

ようやく剣の方に路線を戻すことになるのかなと淡い期待を抱く回となりました。
しかし意外にも戦士学科の先生が常識人でした。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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まぁ普通に考えたらそうですけども。
戦士学科と魔法学科で主人公を取り合う展開とか面白そうだったんですが。。。

そして、放課後だけでも剣の練習ができるように、主人公と魔法の先生が魔法で戦って決めるということになります。
ぶっちゃけここは、魔法を使う先生に対し、主人公は剣を使って戦う、という展開のほうがよかったなぁと思います。
剣では苦戦してたのに、とっさに魔法を使ったらあっさり勝てちゃって「私は魔法なんてイヤなのにー!」みたいなオチにしたら私が期待してた通りの流れでした。

 

第5話、魔法対決の結果……

「剣の練習の許可」を賭けた魔法勝負は、主人公の勝利となりました。
これで剣の道へ進める、と思いきや「魔法を使うのが楽しかったです!」となり、主人公は今後、剣と魔法の両方(どちらかというと魔法寄り?)の道を進むことになりました。

これで完全に剣と魔法の両方を頑張る少女のお話になりました。
私が期待していた見どころは完全に消滅したと言っていいでしょう。

それから、この第5話は魔法の先生に焦点をあてた話作りとなっているんですが、

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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こんな人物設定になっています。
さらに、主人公に負けて落ち込む魔法の先生を学長が励ましにきます。

出典:剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!? 1巻より

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300歳くらいの学長を見た目若い女の子にするのがアレですね。
これはもう、色々なタイプの可愛い女の子たちが学園を舞台に、競い合い、励まし合いながら成長していくという、完全にそんな感じの日常系漫画ですね。

 

総評と今後

レビューでもさんざん言った通り、タイトルと第1話で「面白そう」と思えば思うほど、その後の展開にはガッカリすると思います。
「剣士を目指して入学した」のはホントなわけなので、別にタイトル詐欺とは言えないかもしれません。
ただ問題は「何がウリの作品なのか」っていうことです。
「剣も魔法も頑張って学ぶ少女のお話」なんて紹介されても、特徴も何も感じないと思います。
だからこそ「剣士を目指して入学したのに、魔法の才能の方があった」っていうのをウリにタイトルを作り、物語もスタートさせてるわけですよね。
じゃあ剣士を目指し続けないと、そのウリは維持できないはずなんです。
主人公が「魔法も頑張ろう」と思った時点で、「剣と魔法の両方を頑張る少女の話」でしかなくなってしまうんです。
なので、この漫画が第3話にして「女の子同士のイチャイチャを楽しむ萌え漫画」の要素に頼ることになったのは、用意していたウリがなくなってしまったことの表れだと思います。
ウリがなくなったこの漫画は、「可愛い女の子たちが和気あいあいと学園生活を送る日常系漫画」でしかないわけです。
正直、この分野は個人的に全く興味のない分野なので評価のしようもありません。

まぁ随分と辛口になってしまいましたが、それだけ第1話までは期待できたっていうことだと思ってください。
2巻以降読んでないので、なんらかの方法で路線変更していたら申し訳ありません。

 

【漫画レビュー】クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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作品名:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。

漫画:荒井空真 原作:かわち乃梵天丸 キャラクター原案:ヨシモト

連載誌/レーベル:モンスターコミックス

出版社:双葉社

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

異世界召喚を何度も経験し、「強くてニューゲーム」状態を繰り返していた高山亜流人。しかし、今回はクラス全員を巻き込んでの大召喚。面倒な勇者業はもうこりごりと、ステータス偽装し、商人になったが、あまりのボンクラステータスでクラスメイトからはゴミ扱い。同じく価値なしとされたのは美少女3人。彼女たちとパーティーを組んで、商才とDIY異世界をぬる~くエンジョイ! 小説家になろう発大人気ファンタジー待望のコミカライズ!!

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。

 

登場人物

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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高山 亜流人(たかやま あると)
主人公。イジメられっ子の高校生ですが、何度も異世界召喚され勇者となり、魔王を倒してきた経験を持っています。

 

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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石川 由菜(いしかわ ゆな)
ヒロイン。生徒会長で性格はキツ目ですが、イジメられている主人公をかばってくれるツンデレヒロインです。異世界では力の強い僧侶になってます。

 

あらすじ

高校生でイジメられっ子の主人公「高山 亜流人」は、人知れず何度も異世界に召喚されては魔王を倒してきた「レベル999の勇者」でした。
しかし、今度の異世界召喚はクラスメイトも巻き込まれてしまったため、自分のせいだとバレるのを恐れた主人公は、本来の「レベル999の勇者」ではなく「レベル1の商人」となるようにステータスを偽装します。
実はメチャクチャ強いのに、弱いフリをしてクラスメイトと冒険をする、そんな異世界生活が始まります。

 

レビュー

「クラスメイトと共に異世界転移した主人公は、実はメチャクチャ強いのに弱いフリをして裏で活躍する」みたいな設定は、個人的にはスゴく好きです。
ただしこの漫画、そんな感じの設定で始まったと思いきや、割と早い段階でその設定が使い捨てされてしまいます。
どういうことなのか、そこらへんを順を追ってレビューしたいと思います。

 

第1話にして、ヒロインに強いことがバレてしまう

クラス丸ごと異世界召喚されたものの、不手際により主人公とヒロインだけが別の場所に転移してしまいました。
主人公は、異世界召喚が自分のせいだとバレるのを防ぐため、「レベル1の商人」だと自分のステータスを偽装します。
しかし、オーガに襲われたヒロインを助けるためにとんでもない攻撃をしてしまい、ヒロインに強いことがバレてしまいました。

ヒロインは、学校を休みがちの主人公に対して何かとつっかかってはくるものの、イジメっ子からは主人公をかばってくれるツンデレヒロインです。
このヒロインの設定自体は良いと思いました。
本当は強い主人公に対して、異世界でも弱いと思って文句を言いながらもかばってくれるヒロイン、みたいな展開にすればツンデレ設定を長く楽しめたと思います。
他にも、ヒロインに気付かれないようにこっそり助ける主人公とか、「実は強いんじゃないの?」というやり取りなど、色々と面白そうなエピソードも作れたと思います。
しかし、そんな期待をよそに、第1話にしてヒロインに強いことがバレてしまいます。

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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一応誤魔化そうとはするものの誤魔化しきれませんでした。

 

第2話にして、イジメっ子をあっさり倒してしまう

城に集められた主人公とクラスメイト達は、ステータスを元にランク分けをされることになりました。
クラスメイト達がA~Dランクに分けられる中、主人公だけ何故かEを飛ばしたFランクとなり、Dランクの3人とパーティーを組まされます。ちなみにヒロインはDランクで、残り2人も女性という、ハーレムパーティーになります
その後、Bランクになっていたイジメっ子に絡まれますが、あっさりと倒します。

イジメられっ子の主人公が異世界でもバカにされるものの、本当はメチャクチャ強いという設定でしばらく進んで、ここぞというところでイジメっ子をギャフンと言わせるという流れになるのかな、と思っていました。

復讐モノなんかもそうなんですが、復讐を果たす瞬間が一番盛り上がるものの、復讐を成し遂げてしまえばそれで終わりなんですよね。
今回も同じで、イジメっ子を倒してしまったらそれっきりなわけですよ。
それを第2話にして、あっさりと済ませてしまうってのは勿体ないと思います。
まぁ打ち切りの心配がある連載漫画だと、あまり引っ張る余裕もないかもしれませんし、打ち切りがなくても「なろう小説」は読者も我慢ができない人達が多いのでしょうがないのかもしれませんが、「こんなに早くイジメられっ子という設定を使い切っちゃうんだ…」と読んでて思いましたね。

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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イジメっ子のヤラレっぷりがよかったのでスカッとはしましたけどね。

 

パーティーメンバーにも強いのがバレバレに

パーティーメンバーの前でイジメっ子を倒したので、パーティーメンバーにも強いのがバレてしまいます。

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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イジメっ子はBランクだったので、それをあっさりと倒した主人公に対して「本当にFランクですかぁ?」という疑問を持つのは当たり前ですね。
むしろ「本当に隠す気あるの?」と聞きたいくらいです。

 

第3話にして、冒険者ギルドにも強いのがバレる

「弱いヤツは冒険者ギルドで適当に訓練しろ」と言われてやって来た冒険者ギルドには、第1話で主人公がオーガを倒すのを見ていた女性「リリイ」がいました。
もはや、ヒロインもイジメっ子もパーティーメンバーも、初登場のキャラクターでさえ主人公が強いことを知っているという状況です。
一応「実力なんてないよ、Fランクの最弱商人さ」と口先では言うものの、結局その後のやり取りでギルド長にも主人公の強さが認められることになります。

この「リリイ」という女性、ギルド長の娘にしてAランクの冒険者という実力者なのですが、皆が主人公を弱いと思っている中、実力者の彼女だけが強いことを知っている、という設定で出すならなかなか面白い展開になると思いました。
ですが、もう既に主人公のことを弱いと思ってる人はこの中にはいない、という状況になってます。
そして主人公の実力を知ろうとしたリリイとの戦いでは、

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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強いこと隠す気あります?

 

第4話では、何故かポテトチップス作り

第4話にして強いとか弱いとかどうでもよくなったんでしょうか、唐突にポテトチップスを作ってドヤります。
現代料理を異世界人に食わせてドヤるってのは「なろう漫画」ではよくあることではあるのですが、現代人であるパーティーメンバーにも絶賛されます。
ヒロインのラッキースケベシーンもあり、気付けば1話に1回ちょいエロシーンが入ってますね。何をウリにしている漫画なのでしょう

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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「一刻も早く魔王を倒してクラスメイトを元の世界に帰そう」という気はさらさらない様子の主人公。完全にデレてるヒロイン。ラッキースケベやポテトチップス・・・

 

総評と今後

「クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。」
というタイトルや初期設定から、私が勝手に「クラスメイトが戦っている裏で、バカにされているが本当は強い主人公が活躍する」という冒険ファンタジーを想像してしまったのがそもそもの間違いだったようです。
実際は最初から、主人公は特別弱いフリをするわけでも、裏で活躍するわけでもなく、「その都度ほどよく力を発揮して俺TUEEEな異世界スローライフを満喫する」っていうコンセプトの漫画だったっていうことなんでしょうね。
そっちの方が「なろう漫画」っぽいですし。
そりゃ期待通りに話が進まないのは当たり前でした。

ではそういう漫画として評価するとどうなのか。
実は「これはギャグ漫画なんだ」と思いながら読むと割と面白かったですw
ふらっとやってきた主人公が魔王を瞬殺するオープニングなんかは笑えましたし。

出典:クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱の商人に偽装中です。1巻より

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画力は決して高くないですけど、ギャグ漫画として見ると結構いい味を出してる絵柄だと思います。
1話に1回ちょいエロシーンを入れてるのもどうかと思ってましたが、笑いにつなげているパターンもありますし、マジメな冒険モノとして見るとマイナスでも、ギャグ漫画としてみるとまぁいいかなという感じです。
ただし、ストーリーを進行していく都合上、笑いの量・頻度に関しては物足りなさは感じましたね。
それに、想像して期待したパターンの方が個人的には好みなので、やっぱり「せっかく面白そうな設定だったのになぁ」というふうには思います。

 

 

【漫画レビュー】進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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作品名:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~

漫画:そらの 原作:美紅 キャラクター原案:U35

連載誌/レーベル:モンスターコミックス

出版社:双葉社

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

高校生の柊誠一は、不細工、デブ、臭いと罵られ、毎日ひどいイジメを受けていた。しかし、そんな誠一に転機が訪れる。突然、神と名乗る声が響き、学校全体が異世界に転移したのだ。そして、クラスメイトからパーティーを作ることを拒絶された誠一は、過酷な異世界に一人で立ち向かうことになり――。ひどいイジメも、メスゴリラからの求婚も、これを食べて一発逆転!? 『進化の実』をめぐる大人気異世界ファンタジー、待望のコミカライズ!!

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料になっていたので、レビューしたいと思います。

 

登場人物

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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柊 誠一
主人公。高校生でいじめられっ子のデブから、イケメンに進化します。

 

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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サリア
ヒロイン。女子力高いゴリラから、人間の美女に進化します。

 

あらすじ

高校生でイジメられっ子の主人公「柊 誠一」は、ある日神様によってファンタジー世界に転移させられました。
本来はクラスメイトとともに転移させられるところ、主人公のあまりのステータスの低さに全員から仲間になることを拒否されたため、一人だけ別の場所に転移させられることになってしまいました。
その結果、たった一人で森を彷徨い、飢え死にしそうな状況になります。
しかし、そんな最悪な状況から、いくつかの幸運を経て、勝ち組人生へと逆転することになります。

 

レビュー

あらすじにも書きましたが、主人公は「いくつかの幸運」によって勝ち組人生へと逆転します。
普通に考えたら、タイトルにもなってるんだから「進化の実」のおかげなんじゃないの?と思うだろうと思うのですが、「進化の実」は「いくつかの幸運」の一つでしかありません。
そのご都合主義「いくつかの幸運」を、順を追ってレビューしたいと思います。

 

進化の実と最上級回復薬を運よくゲットする

まずはそもそも、進化の実を手に入れるのが物凄い幸運でした。
本来であれば探してもなかなか見つからない進化の実が偶然手に入ります。
進化の実は「クレバーモンキー」というモンスターが集めていたのですが、たまたま目の前で落としたものを1つ拾い、その後9つまとめて置いてあったのをクレバーモンキーがいなくなった隙に盗み出します。
ついでに「最上級回復薬」を複数個、さらにその材料「特薬草」も手に入ります。
この「最上級回復薬」は、瀕死の状態から一瞬で全回復できるほどの効果があり、これにより主人公は何度も生き延びることになります。
主人公はステータスでは「運」の値0なのですが不思議ですね(棒読み)。

 

体臭でピンチを脱する

さて、進化の実を食べたものの、主人公の能力は上がっておらず弱いままです。
後でわかるのですが、自分より高レベルの相手を倒さないと進化しないみたいです。
では能力が低いままどうやってモンスターを倒すのかというところで、なんと「体臭」で倒します。
たぶんスキルでも何でもない、主人公の素の体臭なんだとは思うのですが、主人公を食べようとしたクレバーモンキーが、体臭を嗅いだ途端、あまりの臭さに即死します。
いくら森で何日も彷徨い、風呂にも入っていない生活をしたからと言って、野生の獣が嗅いで死ぬような体臭になるわけがないと思うので、そういう描写はないですが、もしかしたら進化の実の効果という可能性もあるかもしれません。
ただ、進化すると臭くなるっていうのも疑問ですし、他の能力が上がっていないのに体臭だけがパワーアップするっていうのも疑問なので、やっぱりわかりません。
「単なるギャグで描いただけだから深く考えないで」と言われるところでしょうね。

 

進化とは

で、ようやく進化することができたわけですが、その結果、デブだった体は痩せて、身長も伸びました。
さらに全てのステータス値がプラス1000となりました。

要するに、イケメンになって能力も上がった、というわけです。進化って何でしたっけ?

 

「完全解体」

主人公はクラスメイトから仲間外れにされた際に、哀れに思った神様から特別に「完全解体」というチートスキルを貰っていました。
ぶっちゃけタイトルになってる「進化の実」よりも、こっちの方が役に立ってるんじゃないかと思います。まぁイケメンにもなりたいですけども

では、「完全解体」とはどんなスキルなのでしょう。
説明によると、魔物を倒した際、入手アイテムが最大となり、その魔物の全てが手に入るスキル、とのことです。

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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まずは、倒したモンスターが自動で毛皮や肉、骨に解体されます。
これは名前からも推理できるレベルですし理解できます。
「この大きさの骨ってどの部分だよ」とか「頭蓋骨とか内臓はどこに行ったんだよ」とかツッコみどころはあるのですが、まぁスルーしていいでしょう。

次に、お金やレアアイテムが宝箱に入って現れます。
もうこうなると、「解体」って何?っていう話になります。
戦ってる時には持っていなかったアイテムが出てくるので、「巣かどこかに置いていた物が現れたのかな?」とも思ったのですが、狼が短剣を出したりするのでそういうことでもないみたいです。
これは「ゲームではそうなってるでしょ?それだよ」っていう感じで、深く考えたら負けなやつなんでしょうね。
ただ、ゲームでも見たことないようなチート効果を持つアイテムがガンガン手に入ります。

さらに、そのモンスターの持っていた知識が自分の物になります。

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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これも何気に便利ですね。

さらに、そのモンスターのステータスが自分のステータスにプラスされます。
例えば攻撃力100のモンスターを倒したとすると、自分の攻撃力値に100がプラスされることになります。
ただし、1000を超える数値だと10分の1になってプラスされるそうです。
つまり、モンスターの能力が900ならそのまま900足されるのですが、モンスターの能力が5000だと500しか足されないってことになります。
なので、5000の敵を倒すよりも900の敵を倒した方がパワーアップします。
「そんなバカなことある?間違いじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ちゃんと計算して確認したので間違いないです。
まぁ作者のミス(深く考えてなかった)でしょうね。

さらに、そのモンスターのスキルが自分の物になります。
「結局それかよ」っていうくらい「なろう漫画」ではよく見る「相手の能力奪う系のチートスキル」ですね。
ただ、他の「なろう漫画」ではこれ一つだけで俺TUEEEが成り立つレベルなのに、この漫画では数あるチートの中の一つになってます。

 

再び体臭でピンチを脱し、強いチョロインゲット

5ヵ月後、チートスキルのおかげで相当強くなった主人公ですが、そんな主人公でも歯が立たないモンスターが登場します。
「カイザーコング」という人語を喋るゴリラ型モンスターのメスで、強いオスを探して主人公に襲い掛かってきます。
戦いは終始、このカイザーコング(♀)が主人公を圧倒するのですが、「初撃ヲカワサレタ」とか「私ノ瞬腕(攻撃)デ死ナナカッタ」とかいう程度の理由で「強イ雄、欲シイ」となります。

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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いい勝負をしてるならともかく、自分より圧倒的に弱いのに、だいぶハードル下がってますね。
最終的には主人公の体臭により「フェロモン、スゴイ」となり、仲間(夫婦?)になります。
この時点では完全にゴリラなのですが、後々なんだかんだで美女になります。
まぁ色々ツッコミどころはあるのですが、結局はチョロイン(チョロいヒロイン)ということでした。

 

 

なぜか圧倒的格上の敵に勝利

1週間後、カイザーコング(♀)のもとから逃げ出した主人公は、ダンジョンの奥で「暗黒貴族ゼアノス」という魔物と戦うことになります。
ゼアノスは、全ステータスで主人公よりも数倍強いのですが、最終的に主人公が勝利します。
ここで重要な役割を果たしたのが、以前「完全解体」によって手に入れていた「刹那」というスキルです。
説明によると、「一瞬だけ超高速で動ける。連続使用も可。」というスキルなのですが、どうもこれ、制限なく連続で使えるっぽいので、「一瞬だけ」って何のこと?というチートスキルです。
で、このスキルを攻撃にも転用して使ってみたら、一発逆転勝利となりました。

 

勝利によって

格上の敵に勝利したことによって色々なことが起こります。
まずはこの戦いの中でヒロイン(カイザーコング♀)が死んでしまっていたのですが、
どういうことかわかりませんが生き返ります。
そしてどういうことかわかりませんが進化して、
どういうことかわかりませんが人間になります。
ここはマジでどういうことかわかりません。
進化するには、自分より高レベルの敵を倒す必要があるはずだったのですが、仲間が倒すんでもよかったってことだったんですかね。
そして進化したから生き返ったし人間になったって考えればいいんでしょうか。

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

 

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「疑問点は全部進化の実の効果って考えときゃいいんだよ」という雑さを感じます。

「完全解体」によって手に入ったものもスゴイものばっかりです。
中でも最高レア度のアイテムが、

出典:進化の実~知らないうちに勝ち組人生~ 1巻より

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「相思相愛の相手の数だけ分裂し、その人数分、ステータスが倍に…」
要するに「ハーレム作ったら何倍も強くなるよ」っていうものですねこれ。。。
「果て無き愛」とか「相思相愛の相手の数」とかって、この「愛」って私が考える「愛」とは違うものなんでしょうねきっと。。。

そして「最終進化」が行われました。
「特殊進化」やら「ボーナス進化」やらも同時に行われたのですが、説明がないのでそれらがどういうものなのかはよくわかりませんでした。
とにかく全ステータスに10万ポイントずつ足されたようです。
現時点でステータスは1~2万くらいのはずなので、一気に10倍くらい強くなりました。

 

総評と今後

遠慮なくツッコミを入れさせてもらいましたし、まだまだツッコミどころはあるのですが、完全にギャグテイストの漫画なので、実際のところは気にするほどのことではないかもしれないです。
※これで笑えるかどうかっていうところが重要なだけです。
「なろう漫画」特有のチートもこれでもかというくらい盛沢山で出てきましたが、1巻では格上の敵とばっかり戦ってたこともあり、単純な俺TUEEE展開ではなかったですね。
ただし、ピンチや苦戦が描かれてたとは言うものの、その解決方法が「体臭で~」とかいうギャグになってるので、バトル漫画としての面白みにはつながってないと思います。
※結局はギャグ漫画として笑えるかどうかです。
では肝心のギャグはどうかと言うと、ハイテンションのノリで顔芸とリアクションで笑いをとるタイプの、小学生向けのギャグ漫画という感じですかね。

ただ今後に関しては、進化の実による進化は1巻で終了っぽいですし、もしかしたら2巻以降は俺TUEEE展開に切り替わる可能性もあるのかなとは思います。

 

【漫画レビュー】キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻

 

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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作品名:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦

okama 細音啓/原作 猫鍋蒼/キャラクター原案

連載誌/レーベル:ヤングアニマル

出版社:白泉社

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

2018年、一番波に乗っているラノベ作家・細音啓と、大人気イラストレータokamaがタッグを組む!! 「新作ラノベ総選挙2018」で【第3位】を獲得した話題のヒロイックファンタジーノベル、待望のコミカライズ第1巻! 魔法と機械の戦争が続く世界で、最凶の魔女と最強の剣士が出会う時、運命が動き出す―! オーディオドラマ化など様々なメディア化も進行中!!

ebookjapanで1巻が無料になっており、タイトルに惹かれて読んでみました。
タイトルに惹かれたと言っても、意味は全くわかりませんでしたが。
どういう意味だろうと思って読んだというのもあります。
さて、せっかくなのでレビューしてみたいと思います。

 

登場人物

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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イスカ
主人公。帝国の最高戦力「使徒聖」の一人で、史上最年少らしいです。

 

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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アリスリーゼ・ルゥ・ネギュリス9世。通称「氷禍の魔女」。
ヒロイン。大魔女ネビュリスの直系の「純血種」であり王族です。

 

あらすじ&レビュー

第1話:少年と魔女①

軍事国家「帝国」と、魔女の国「ネビュリス皇庁」が戦争を続けている世界で、帝国の最高戦力「使徒聖」である主人公は、捕らえられていた魔女を逃がしてあげました。

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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「これがうまくいったら君以外の子も逃がせるかなって」
「おぉ、良い奴やん主人公」と思わせといて、

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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ダサすぎて笑えます。
これで主人公がギャグキャラだったら笑えるだけで済むんですが、基本的にカッコいいキャラとして描かれてるんで逆にダサいです。

主人公が投獄されてから1年後、「氷禍の魔女」と呼ばれる強い魔女が攻めてきたことから、「釈放するから氷禍の魔女倒して来い」という理由で釈放されます。

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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1年間の刑務所暮らしでボサボサになった髪の毛を、主人公にしか扱えない「星剣」と呼ばれる特別な剣を使ってカットします。
逮捕時のダサい姿を見てる以上、いくらカッコつけられてもダサく見えますね。
「そもそもカッコよくねえよ」と思う人も多いかもしれませんが。

この一連の逮捕~釈放という展開が、この漫画にとって必要だったのか、1巻を読んだだけでは疑問にしか思えませんでした。
このエピソードがあることでツッコミどころがだいぶ増えます。
主人公の人となりを紹介するために描かれたのかもしれないのですが、私はこれを見て「この主人公は頭の悪いダサいヤツ」という印象しか持てなかったんですが、それでいいんでしょうか。

 

第2話:少年と魔女②

主人公は前線に向かう途中で、いきなり目的の「氷禍の魔女」と遭遇し戦うことになりました。

この戦闘中に主人公の計画が語られます。
主人公はずっと100年間続いている戦争を終わらせたいと思っていました。
そもそも戦争のきっかけは、超常的な力をもった人々を帝国が「魔女」や「魔人」と呼び迫害したため、それに対して彼らが反旗をひるがえしたことでした。
「帝国が悪いじゃん」としか思えない中、その帝国側の主人公が考えた計画は「氷禍の魔女を人質にして魔女たちに平和交渉に応じさせる」というものでした。
帝国の方に和平する気があるのか、あったとしても人質をとった帝国がどういう条件を突き付けるのか、魔女に対する迫害を続けることはいいのか等々、主人公はちゃんと考えているのかということが気になります。
「さすがに考えてるんじゃ…」と思いたいところですが、主人公はつい1年前に無計画な行動で逮捕された無能でした。。。

それでも、主人公が熱く語る「戦争を止めたい」という想いは本気なんだろうと思ってました。

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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そしてこの漫画自身も、全体的な流れとしては、戦争や復讐の連鎖をどう終わらせるか、そういったことをメインに描かれていくんだろうと思いました。
この時までは、

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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完全に「流れ変わったな」って言うところですよねこれ。。。

 

第3~4話:僕が、私が、出会った人は

氷禍の魔女のことが頭から離れない主人公は、気分転換にオペラを見に行くことになりました。
一方、主人公のことが頭から離れない氷禍の魔女も、気分転換にオペラを見に行くことになりました。
偶然2人は隣の席になり一悶着起きますが、中立都市だったため自制し、戦いにはならず別れます。
しかしその後、偶然立ち寄ったパスタ店で相席になり、やたらと気が合う「楽しい……」みたいな感じになります。アホくさ

マジで流れ変わってます。
戦争なんてそっちのけで恋愛漫画が始まってしまいました。

そもそも本来なら国家反逆罪で終身禁固刑だったはずの主人公が、こんなに自由に遊びまわれることが違和感です。
私はてっきり、厳しい監視の下、最前線で戦いの日々を強いられるものだと思ってました。
ですが蓋を開けてみれば、気になる女性が頭から離れず部屋から出てこないことを心配した仲間からオペラのチケットを貰ったので、中立都市に遊びに行く、というメチャクチャ充実した生活をおくれています。
釈放される際、「最高意思決定機関はそんなに慈悲深い相手ではない……」とか言ってましたがメチャクチャ優しいですよね。
氷禍の魔女を倒すという任務のために釈放されたはずなのですが、もしこのタイミングで氷禍の魔女が攻めてきたらどうしたんでしょう。
まぁ結果的には氷禍の魔女の方も戦争そっちのけでオペラ鑑賞に来て主人公とばったり出くわしてるわけですけど。
戦争が一体どういう状況で行われているのかが全く見えてこないです。

 

第5話:運命をつなぐもの

演習中の主人公のもとにやってきた「リシャ」という人物からチケットを貰ったため、今度は展示会を見に行くことになりました。
一方、氷禍の魔女も展示会を見に行くことになりました。
そして再び2人は出会い、「なんで あなたがここにいるのよーっ」となります。アホくっさ

てっきり私は、主人公以外に氷禍の魔女を倒せる人物がいなくてしょうがなく釈放ということだったのかなと思っていたのですが、主人公の部隊は今さら演習をしているし、実績もないみたいですし、即戦力ですらなかったんですね。
それに主人公は「使徒聖」の中では末席だったようで、今回の話で登場した「リシャ」っていう人物は主人公よりも圧倒的に強いそうです。
国家反逆罪を犯した主人公を釈放する必要あったんですかね。
そして相変わらず戦争そっちのけで遊びに出かけてるし、100年も戦争が続いてると言っても現時点ではそこまで切羽詰まった状況じゃないっていう認識でいいんですかね。

 

総評と今後

軍事国家と魔女の国の戦争を描いた戦争モノかと思いきや、戦争してる最中にそれぞれの英雄が恋愛をするっていう恋愛モノでした。
タイトルに「キミと僕の~」とあるのである程度は覚悟していたのですが、まさかここまでベタベタの恋愛モノとは思ってませんでした。
前半は「戦争」とか「迫害」とか重いワードが力を持っていたので、それなりにシリアスな話かなと思っていたのですが、後半になるとそれらのワードは主人公とヒロインの恋を盛り上がらせるためのスパイス程度だったのかなという感じになっちゃいました。

じゃあ、恋愛モノとして見た場合おもしろいかと言うと…どうなんでしょうね。
最初の方は「いがみ合っていた2人が徐々に恋愛に発展していく」みたいな流れも感じましたが、もう既に両想いと言っていいレベルにまでなっちゃいましたし、あとは素直になるだけっていう感じですね。
ぶっちゃけ大学生になってはじめて恋をした男女の甘酸っぱい恋愛模様、という雰囲気を感じます。
そういうのが見たい人にはいいのかもしれないですけど私は無理でした。
まぁさすがに戦争などの設定を完全無視するとは思わないので、今後、主人公とヒロインが戦争の激化によって引き裂かれるというロミオとジュリエット的な状況になれば私みたいなのでも面白く感じるかもしれませんが、どうなんでしょう。
一応、作中に出てきたオペラの内容もそんな感じだったので、そういうのがテーマなのかなとは思いますが。

 

ちなみに全くわからなかったタイトルの意味なんですが、
「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」
まさかとは思ったのですが、「世界」を「恋」に変えてみたら、
「キミと僕の最後の戦場、あるいは恋が始まる聖戦」
漫画の内容と合致してしまいました。
そうなると第1巻にして主人公とヒロインの戦いは終了ということになってしまいますが、この漫画的には不思議じゃないですね。
「恋」を「世界」と表現するのもラノベっぽいしw
さて、この推理は合ってるんでしょうか。

 

【漫画レビュー】成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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作品名:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです

著者:橋本良太 原作:時野洋輔 キャラクターデザイン原案:ちり

連載誌/レーベル:MFC

出版社:KADOKAWA

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

就活中に事故で死にそうになった楠一之丞は異世界に転移。さらに女神の手違いにより一之丞は常人の400倍のスピードで成長する能力を授かった。あまりの成長速度に、一之丞は無職のまま異世界生活を始める。

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料で読めたので、レビューします。

 

登場人物

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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イチノジョウ
主人公。本名は楠 一之丞(くすのき いちのすけ)。

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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ハルワタート
ヒロイン。白狼族。奴隷。
「弱い相手に従うのは死より辛い」という設定のはずだが、ほぼ初対面の主人公に「私を使ってください」と営業をかけてくるチョロイン。

 

あらすじ&レビュー

異世界転移

「なろう漫画」おなじみの異世界転移モノです。
就職活動中に暴れ馬に踏み潰されて死んだ主人公が女神様のもとで目覚めます。

これ系の主人公は、後腐れがなくて都合がいいという理由からか、「両親は既になくなっている」という設定が多いのですが、この漫画の主人公は「両親は死んでいるが妹がいる」という謎設定になっています。
妹は株で大儲けしているらしいので、兄が死んでも生きてはいける設定にしてもらってはいるのですが、未成年にして両親に続き兄も死ぬという業を背負った妹には同情せざるを得ません。

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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なぜこんな設定にしたのか、何かの伏線になるんでしょうかね。

さて、主人公は「10億人にひとりの大チャンス」ということで異世界転移できることになり、チート能力も貰えることになりました。
で、女神さまの手違いもあって普通の人の400倍のスピードでレベルアップできるようになりました。

まぁここらへんは雑な「なろう漫画」テンプレですね。
「こんなもんでいいだろ」という作者の開き直りが見て取れます。
一応「取得経験値20倍」と「必要経験値20分の1」をそれぞれ別の女神から貰ったので400倍のスピードだぜ、というのがオリジナルアイデアということなんでしょうが。

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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1個の大きなチートを与えるか、小さなチートの組み合わせで大きなチートにするか、の違いでしかないと思いますが、「なるほど」と思う人は多いかもしれませんね。

 

「無職」とは?

タイトルにもなっている通り、「無職」に強いこだわりがある漫画のようなのですが、ぶっちゃけ「無職」の意味がよくわかりません。
「職業」とは、ゲームでよくある「戦士」とか「魔法使い」とかのやつで、その中に「無職」もあるわけです。
初期状態は「無職」で、行動によって様々な職業が解放され、解放された職業の中から成りたい職業を自分で選べる、という設定のようです。
主人公は、「この世界の人は生まれてすぐ平民に就職するから、誰も無職をレベル20にしたことはないだろう、だから無職には可能性がある」という謎理論により、「無職」を続けることにしました。
都合のいいことに「第一職業」を「無職」にして「第二職業」で「剣士」やら「狩人」やらの職業を選択することができたのでデメリットはないです。
それどころか、「無職」のレベルが上がると「第二職業」「第三職業」「第四職業」と、段々とたくさんの職業を付加できるようになって、いっぺんに複数の職業レベルを育てることができるみたいです。
先ほど「主人公は400倍のスピードで成長できる」と言いましたが、例えば4つの職業を同時に鍛えられるということならば、「普通の人より1600倍のスピードで成長できる」ということになると思います。
「無職」にはデメリットがないどころか、めちゃくちゃメリットありました。
これは主人公の予想通りだったわけですが、作者様の作った世界で、作者様の分身である主人公だからこそ気付けた仕様というヤツです。

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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「結局、異世界でも無職のままなのか…」
「第二職業」には普通にちゃんとした職業を入れられるわけですし、溜息をつくような事態じゃないですよね。
そもそも「無職」を続けるかどうかは完全に自分次第なわけですし。
タイトルからして、成長チートあるのに無職、不遇っていう流れにしたいんだとは思うんですが、完全にタイトル詐欺だと思います。

※「無職」と他の職業を同時に就ける時点で「『無職』って一体何なの?」と思う人が多いかと思いますが(ていうか私もそうだったのですが)、「無職」を「求職者」とでも置き換えると割と理解はできるかなと思いました。
一度無職」をやめると二度と「無職」には戻れないという設定は意味不明ですが。

 

女奴隷を手に入れる

「無職」だと冒険者ギルドを利用できないらしく、そこに突然あらわれた奴隷商人が「だったら奴隷を代理にすればいいじゃない?」と提案してきます。
主人公は「奴隷ってイメージがあんまり…」とか言うもののもちろん利用します。
そしてもちろん女奴隷です。「なろう漫画」なら当たり前ですよね。
最初はレンタルだったのですが、なんだかんだ理由をつけて購入することに決めます。

「なろう漫画」でよくある展開ですが、なんだかんだと理屈をこねくり回して結局女奴隷を購入するという流れ、これが個人的に嫌いなんですよねぇ。
数ある「なろうテンプレ」の中でこのテンプレが一番嫌いかもしれないですね。
しかも「なんかイイ話」風にしてるのが最高に気持ち悪いです。

出典:成長チートでなんでもできるようになったが、無職だけは辞められないようです 1巻より

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「俺は…ハルを買いたい」
主人公に買われることになる女奴隷は「ハルワタート」という名前なんですが、白狼族という獣人の女戦士のようです。
ここらへんは、奴隷商人が積極的に主人公に営業をかけてくることといい異世界迷宮でハーレムを」のオマージュ?というくらいそっくりです。
で、この奴隷商人が主人公に対して至れり尽くせりしてくれます。
最初は「うわ絶対怪しいやんコイツ」と思っていたのですが、普通に親切なだけでした。
「商売なんだから親切にするの当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、あと10日経てば1000万円相当で貴族に売れるハルワタートを、300万円相当で主人公に快く売ってくれるのは商売人としてどうなの?
売る前にも、「ダンジョンで行方不明になった女性を助けるためにハルワタートを貸して」と頼みにきた主人公に対して、1000万円相当の商品を失うリスクがあるにも拘わらず、ハルワタートの意思を確認したうえで了承しますし。
ちなみにこの時主人公は、「レンタル料200万円相当払う、なんなら追加でもう200万円相当払う」というようなことを言うのですが、その後購入することになったドサクサでたぶん購入代の300万円相当しか払ってないと思います。
もともと奴隷商人が主人公に声をかけた理由も、貴族に売られる前にハルワタートを少しでも外に出してあげたいからとか言ってましたし、「良い人」としか言えないです。
まぁ正確には「主人公にとって都合が良い人」なんでしょうけどもね。

 

RPGの世界

なろう界隈では、異世界=ゲームの世界観は別に珍しくはないのですが、この漫画では女神がわざわざ「いわゆるRPGみたいな~そんな世界だよ」と説明をしてくれます。
「職業」うんぬんの話は先ほどしましたが、当たり前のようにステータス画面が出てきて、レベルやHP(生命力)、諸々の能力が数値で表現されます。
装備なんかは「剣装備スキル」を取得していないと剣も抜けない、というほど徹底しています。
モンスター(人も)はトドメさえ刺せば経験値が入りますが、戦闘が終わらないうちはレベルが上がりません。
ただし、モンスターを倒してもお金が出てくるわけではなく、魔石や素材なんかをギルドに売ってお金にするみたいで、ここだけ現実的です。
ここらへんはモンスターハンターとかの影響なんでしょうか。

 

総評と今後

最初は「ギャグ漫画」かと思って読んでたのですが、最終的に感動させにきたり、割と理屈っぽいところがあったりと、結構マジメなストーリー漫画っぽくなってきます。
絵柄がカワイイのと、シリアスなシーンの直後でもギャグ漫画のような描写をしたりしてくるので微妙ですが。

この漫画のウリと思われる「成長チート」に関しては、次々に新しいスキルを覚えていくのはなんだかんだ言って楽しいですね。
よくも悪くも「なろう漫画」のテンプレの持ち味が出てると思います。

主人公のキャラクターは、イキリ系でもヤレヤレ系でもないですし、悪くはないと思います。まぁまだ俺TUEEEするほど強くなってないからってのもあるかもしれませんが。

今巻はほぼ丸々「女奴隷購入イベント」だったので、個人的には嫌悪感が割と高めになってしまいましたが、それが終わった次巻以降はもっと楽しめるのかもしれません。