かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】ブサメンガチファイター 1巻

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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作品名:ブサメンガチファイター

原作:弘松涼 漫画:上月ヲサム

連載誌/レーベル:月刊ビッグガンガン

出版社:スクウェア・エニックス

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

「ルックスは-255」「女に触れるとHP激減」「エッチをしたら四散して死ぬ」…そんな“設定”と引き換えに、引きこもりの元営業マン・しげるが、アッチの世界で手にしたモノは…?

「なろう漫画」です。
ebookjapanで1巻が無料で読めるのでレビューをしたいと思います。

 

登場人物

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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吉岡しげる
主人公。規制されない程度にマイルドに描かれたブサメン。

 

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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誠司(せいじ)
パーティーのリーダー。さわやかイケメン。

 

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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聖華(せいか)
ヒロイン。世間知らずの天然ボケお嬢様。ツンデレ

 

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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名前不明
ロリっ子。「アハハ、あたしも16歳になっています」って言うってことは実際は結構な年上かも。

 

あらすじ&レビュー

第1話:異世界転生

自他共に認めるブサメンである主人公が、更にブサイクになって異世界転移しました。
ブサイクになる代わりに手に入れた圧倒的な力で、同時に転移してきた3人の仲間とともにファンタジー世界を冒険します。

 

事前に能力パラメータをいじってから転移するパターンの異世界転移モノです。
これ系の異世界転移は、リアリティはグンと下がるんですが、作者の工夫が見られて個人的には嫌いじゃないです。

ではこの漫画はどうでしょうか。
主人公は元々ブサメンだったのに、ルックスパラメータを爆下げし、超絶ブサメンになることで、他の能力にその分の数値を振り分けられるようにしました。もうここでタイトル回収です。
ルックスをプラス5からマイナス255にすることで、ボーナス13000ゲットしました。
ただそれだけじゃ足りないということで、「特記事項」に弱点を書くことでボーナスを100兆5100まで増やしました。
よくわからない設定もありますが、その中でも「女の子の肌に直接触れたら1秒間でHPの1割が消耗、女の子とエッチをしたら無限の苦しみを味わい四散して死ぬ」という設定が目を引きます。無限の苦しみって永遠に苦しむってことでしょうか。ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムでしょうか。

大したツッコミではないのですが、ボーナスが100兆以上あるなら、ルックス普通にして13000くらい戻してもよかったですよね。と思います。
タイトルの根幹部分ですが、そのタイトル回収のとこで手に入れたボーナスってあんまし意味なかったってことなんですよね。
まぁ主人公が本気にしておらず、ふざけてやったことなので、物語的におかしいっていうことではありませんが。

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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異世界とやらに期待をしたわけじゃない、ただ」→「釣られてやるか」
「けれどもし本当に「第二の人生」が望めるなら」→「釣られてやるか」
この流れでふざけるって、結局オマエは何をしたかったのかと

 

第2話:街

街に辿り着いた4人。
主人公はソロで生きていこうとしますが、仲間の聖華さんとなんやかんやあって、結局パーティーを抜けるのはやめました。

 

仲間のひとり聖華さんを掘り下げる回でした。
クールなキャラに見せかけて世間知らずの天然キャラという、なかなかにかわいらしい女性です。
それにメチャクチャいい人で、ブサメン主人公に辛く当たるかと思いきや全くそんな素ぶりも見せず、ハンバーガーや宿代、夕飯代まで奢ってくれました。
まさに理想的なヒロイン像です。
作者は聖華さんをツンデレキャラにしようとしたのかなと思うのですが、むしろ主人公の方がツンデレっぽいんですよね。

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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オマエも素直に助けろよ

 

第3話:案内人

恭志郎という怪しげな転生者によるガイドで洞窟の探索にきた4人。
ボス部屋の手前まで辿り着いたところで、恭志郎の勧めで飲み会が始まりました。

 

この恭志郎、悪い奴かと思わせといて「実は悪い奴じゃないんじゃ」と思わせといて結局悪い奴、ということでした。
この流れに、なんとなくモヤっとしたのは私だけでしょうか。
意味のない回り道をさせられたような感覚です。
あと、恭志郎と出会ってすぐに、「怪しすぎる、というか十中八九初心者狩りだ」と主人公が思うんですが、その根拠がいまいちわからなかったのもモヤっとしました。
あと、恭志郎に「ここは安全ポイントでな」と言われて案内された部屋が、自分がスキルを使えば半径200kmを消滅させることができるというのを根拠に「安全ポイントなんて存在しない」=「恭志郎ダウト」と思ったのもモヤっとしました。
恭志郎からしたら「そんなチートスキル知らねえよ」と言ったところでしょう。

まぁギャグ漫画なので細かいとこにツッコミを入れてもしょうがないんですが、この漫画、なんとなくモヤっとするものがずっとあるので細かいところにも引っかかるんですよね。
で、そのずっとモヤっとする理由を次の話で説明します。

 

第4話:誠司さん

睡眠薬で眠らせて、その間に4人を縛り上げて売り飛ばそうと目論んでいた恭志郎でしたが、主人公だけでなく誠司さんも眠ってはいませんでした。
本気を出せない主人公を守るため誠司さんがスキルを発動させます。

 

ずっとそうなんですが、主人公がなぜか強いことを隠そうとするんですよね。
「なろう漫画」では口先だけの「目立ちたくない」という主人公はよく見るのですが、そういった理由説明すらないので、「何で?」というモヤっとがずっとあります。
強いことを隠すため戦闘にもろくに参加しないですし、戦闘に参加しないことに対して仲間が特に文句も言わないのも「何で?」と思います。

他にも「女に触ったらダメージを受ける」「手に入れられる金は1万分の1になる」の説明もしないので、ややこしいことも起きます。
「女に触ったらダメージを受ける」は、その弱点を悪人に利用されたら危険だ、という理由が考えられますが、それならそう読者に説明しておくべきだと思います。

恭志郎を怪しいと思った時にそのことを言わないでいたのも「何で?」なんですよね。
「確信が持てないので言わないでおこう」という理由ならまぁわかるのですが(それでも相談しろよ、とはなりますが)、「十中八九初心者狩りだ」とまで思っていたのに、「誠司さんに任せよう」と心の中で思うだけです。

この漫画、周りのキャラがボケて、主人公が心の中でツッコむ、という手法を使ってます。
それはそれでいいのですが、主人公が言うべきことを秘密にしている状態で、心の中でツッコミだけ入れてるのってなんかバカにしてる感じがするんですよね。
「俺だったら簡単に倒せるのになぁ」とか
「怪しい奴なのになぁ」とかそんなイメージです。
主人公がブサメンで女とイチャコラできないから許せてますけど、いつものナローシュ(なろう漫画の主人公)だったら結構イヤな奴だと思います。

出典:ブサメンガチファイター 1巻より

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いやアンタも戦えよ
と、ツッコミ役である主人公にツッコみたくなるシーンが結構あります。

まぁなんだかんだで助けには入るので、悪いヤツではないんですけど。
最強主人公は、わざとピンチを作り出してから助けに入る、というマッチポンプ的展開にどうしてもなっちゃいます。

 

総評と今後

なんだか辛口レビューになってしまいましたが、ギャグ漫画として楽しくないわけではないです。
聖華さんはかわいらしいですし、ほのぼのします。
誠司さんも頭はいいのに天然キャラというほのぼのキャラです。
もう一人のヒロインのロリっ子は名前もまだ出てきてないですが多分いい人です。
全員自己紹介したにも関わらず彼女の名前だけ言わなかったのは、もしかしたら現世で主人公の知り合いだったとかいう展開があるのでしょうか。

ぶっちゃけ3人が登場した時は、イケメンに酷い目に合わされた後に強くなってざまぁして俺TUEEEするのかなと思ったのですが、全然そんなことにはならなかったですね。
それどころか皆良い人ばかりで、ブサメンなうえ愛想も悪い主人公にも優しく接してくれるという「主人公が一番イヤな奴じゃん、ブサイクのくせに」ということになってしまいました。

そういうこともあって、ぶっちゃけ今のところブサメンであるデメリットはそんなに感じられないです。
それよりも、主人公が調子にのったりしてもあんまり不快感にならないというメリットをもたらしていますね。
イケメンがやったら鼻につくことでもブサメンなら許せるという、これが「ただしブサメンに限る」というヤツでしょうか。

絵もうまくてかわいらしいし、仲間もいい人ばかりだし、最強主人公で安心感もあるし、ハーレム展開もなさそうだしで、読みやすい漫画だと思います。