かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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作品名:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

原作:大森藤ノ キャラクター原案:ヤスダスズヒト 漫画:九二枝

連載誌/レーベル:ヤングガンガン

出版社:スクウェア・エニックス

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

迷宮都市オラリオにある、世界でただ一つの【ダンジョン】。危険と引き換えに、富やロマンス、名声……人の夢と欲望が詰まったこの場所で、少年は一人の小さな「神様」とであった――。GA文庫大賞初の《大賞》受賞作を堂々コミカライズ!!

「なろう系漫画」です。
正確には「小説家になろう」ではなく、別の小説投稿サイト「Arcadia」で書かれていた小説が原作のファンタジー漫画です。
アニメ化もされているので、私も名前だけは知っていたのですが内容は初見です。
ebookjapanで1巻が無料で読めたので、レビューします。

 

登場人物

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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ベル・クラネル
主人公。異性との出会いを求めてちょっと冒険したくなって冒険者になったそう。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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アイズ・ヴァレンシュタイン
ヒロイン。「剣鬼」と呼ばれるメチャクチャ強い女剣士。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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ヘスティア
主人公が契約している神様。ロリ巨乳

 

レビュー

あらすじ

剣と魔法のファンタジー世界。
弱小ファミリアに所属する冒険者の「ベル」は、剣姫「アイズ・ヴァレンシュタイン」により命を救われ、彼女に惚れます。
そのことにより、「憧憬一途」というスキルが発現し、能力の上昇率がアップすることになりました。
そして、ベルはアイズにふさわしい男になるため、強くなることを決意します。


タイトルだけだと、モテない主人公がダンジョンで出会いを求めて戦い続けるが全然うまくいかず、強さだけどんどん上がっていく、的なコメディチックな話かと思ってましたが全然違いました
冒頭でいきなりヒロインに惚れたら、あとはずっとヒロインを一途に想い続ける、みたいな感じになります。
「憧憬一途」というスキルの効果が
 ・早熟する
 ・懸想が続く限り効果持続(懸想:異性に思いをかけること。恋い慕うこと。)
 ・懸想の丈により効果向上
なので、ヒロインを一途に想えば想うほどその間の能力の上昇率がアップするということですから、さすがに途中でヒロインを諦めて、ダンジョンに別の出会いを求める展開になるとは思えないですし。
タイトル詐欺のつもりはないのかもしれませんが、このタイトルでダンジョンに出会いを求める話ではなく、ダンジョンで出会ったヒロインを一途に想い続ける話だと思う人っているんですかね。

 

ハーレム展開は無し?

ヒロイン「アイズ・ヴァレンシュタイン」を一途に想い続けるという話だと、「じゃあハーレム展開にはならないんだね」と安心する人がいるかもしれませんが、正直怪しいです。
1巻だけで、ヒロインを除いても4人の女性が主人公を気にかけています。

まずはギルドの受付嬢の「エイナ・チュール

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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何気なく「エイナさん大好きー!!」とか言う主人公のあざとさにイラっときます。

次に酒場のメイドの「シル・フローヴァ

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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落とし物を拾ってもらったところからあれよあれよという間にこんな感じです。

次に女神「フレイヤ

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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一目見ただけでこれです。

最もあれなのが、主人公が契約している女神の「ヘスティア」で

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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主人公がヒロインに一途になった設定の後でも、抱き合って寝るなどイチャイチャします。一途って何でしたっけ???

とまぁこういう状態なので、主人公としてはヒロインを一途に想い続けてるつもりなのかもしれませんが、その裏で鈍感系主人公としてあざとい言動により他の女性をポッとさせたり、惚れさせた女性からのアプローチがあったり、結局イチャイチャしたり、ということが起きそうな予感でいっぱいです。

 

神々と人間が共存している設定

剣と魔法のファンタジー世界で、ダンジョンにモンスターが沸いていて、それを冒険者が討伐して、ギルドで換金する、というのは「なろう系漫画」ではよくある設定です。
ただ、この漫画は、神々と人間が共存していて、冒険者はそれぞれの神と契約し恩恵を授かり、「ファミリア」という組織を作って競っている、というかなり特殊な設定が付加されています。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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神々と人間が共存する経緯についてはこんな感じの説明です。

そもそも私は「神様の気まぐれ」的な設定が好きではありません。
本当なら解決できる問題なのにおふざけに付き合わされてるだけ、と考えると緊張感が薄れてしまいます。
この漫画では、その神様が人間と共存してるので尚更です。
どんなピンチに陥っても「いざとなれば万能の力を使って解決できるんじゃないの?」と思うとなんだか冷めてしまいます。
「使わない」とは言っても「本当に死なせたくない人が死にそうならルールを破ってでも助けるよなぁ」と思います。
「もし助けないなら所詮はその程度の存在なんだろ?」というのは、穿った見方すぎますかね。

それに「人間よりも遥かに長生きしているのに幼稚な言動をしている」っていうのも、おふざけをしているように感じられてあまり好きではありません。
「まるで人間のような様々な神様たちが和気あいあいしてて楽しい」と評価する人も多いのかもしれませんが。
この漫画を「楽しい日常系漫画」と見るか「真剣な冒険系漫画」と見るかで、ここらへんの評価は大きく変わるような気がします。

 

主人公について

ズバリ一言で言うと「あざとい」です。
かわいい系の鈍感系主人公はよくあるキャラクターなのですが、この漫画では「ヒロインに一途」という設定があるので、余計に他の女性に向ける言動の「あざとさ」が気になります。
それに「草食系男子に見せかけた雑食系男子」疑惑もあります。
もともと「ダンジョンに出会いを求めていた」わけですし、その後も「ヒロインに近づくために強くなる」ですから、「いくら鈍感系主人公ぶっても頭ン中女のことばっかじゃねえか」と言わざるを得ません。

出典:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 1巻より

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「純真一途な理由」て。。。一途にヒロインのケツを追っかけるんだろ?
何を注意されてるかわかってる?これはボケなのか?

 

スキル「憧憬一途」について

「なろう系漫画」でよくあるチートスキル「成長率アップ(獲得経験値〇〇倍)」の条件付きバージョンですね。
もっとも、「条件付き」と言っても、あってないような条件ですけども。
これ系のスキルは結局「レベル(能力)を上げて解決」というパターンになりがちなので、戦闘シーンの面白みは薄いかもしれませんね。
実際、第1巻には3回くらい主人公の戦闘シーンがありますが、「短剣で戦ってる」と言うしかない内容です。
なんだかんだで、戦闘とかよりも女の子との関係性に重きを置いた漫画って感じがしますね。
要するに「恋愛要素のあるバトル漫画」ではなく「バトル要素のある恋愛漫画という感じです。
とは言え、主人公がガンガン強くなっていく要素もあるのでそっちでも楽しめるとは思いますが。

 

総評と今後

「色々な女の子が主人公を取り囲んでキャッキャウフフするラブコメディです」。
「ヒロインを一途に想うことで強くなっていく少年が主人公の英雄譚です」。
真逆の紹介ができる漫画です。
個人的には「英雄譚と思わせといて実際はラブコメの要素が多いなぁ」と思いました。
ここらへんは読者の受け取り方でだいぶ違うと思うので、それぞれ読んで確かめるしかないかもしれないですね。

主人公のキャラクターにしても
「普段は優柔不断で誰にでも優しいが、ヒロインのことを一途に想っている」ととるか、
「ヒロインが一番好きなくせに、誰にでもいい顔をする天然の女たらし」ととるかで評価はガラッと変わると思います。

どちらにせよ、成長にしろ恋愛にしろ、経過をきちんと描こうとしてる気がするので、単純な俺TUEEEや単純なハーレム物にはならないような気がします。
そこは今後に期待が出来る点かなと思いました。