かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 全2巻

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 1巻より

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作品名:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編

著者:マツセダイチ 原作:長月達平 キャラクター原案:大塚真一郎

連載誌/レーベル:MFコミックス アライブシリーズ

出版社:KADOKAWA

ジャンル:少年マンガ

ebookjapan 第1巻 紹介文より

異世界に召喚された少年・スバルが、死して時間を巻き戻す能力「死に戻り」で絶望の運命から未来を拓く!――たとえ君が忘れていても、俺は君を忘れない。

「なろう漫画」です。
アニメなんかでもかなり有名な作品ですよね。
なんですが、私はアニメも漫画も見たことなくて、名前だけずっと知っていました。
「死に戻り」というテーマはスゴく興味があったのですが、なんとなく雰囲気とかが自分に合わなそうと感じて食指が動いていませんでした。
ですが今回「第一章」だけ、全2巻というちょうどいい長さなので買ってみました。
ということでレビューをしたいと思います。

 

登場人物

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 1巻より

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菜月 昴(なづき すばる)
主人公。通称「スバル」

 

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 2巻より

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エミリア
はじめは「サテラ」と名乗っており、本当の名前が明かされたのは最後の最後でした。
ちなみに「サテラ」というのは「嫉妬の魔女」の名前で、口に出すのも憚られるようなものだったそうです。

 

ざっくりとしたあらすじ

気が付いたら異世界の街に突っ立っていた高校3年生の主人公「スバル」は、チンピラに襲われていたところを美少女ハーフエルフ「サテラ(仮)」に助けられました。
サテラ(仮)は盗まれた徽章を探している途中だったので、スバルは恩返しに手伝うことにしました。
なんやかんやあってようやく見つけたと思いきや、スバルもサテラ(仮)も何者かに殺されてしまいます。
と次の瞬間、スバルは異世界に来た瞬間まで戻っていました。
スバルには死んだら最初の時間に戻る「死に戻り」という能力が身についていたようです。
さて、スバルとサテラ(仮)は死の運命から脱し、無事に徽章を取り戻すことができるのでしょうか。

 

見どころ&レビュー

「なろう漫画」らしくないストーリー

「なろう漫画」とは思えないメチャクチャしっかりとしたストーリー構成です。
確かに異世界転移モノではあるのですが、なろうテンプレとは全然ちがいます。
「なろう漫画」で異世界転移・転生と言ったら
異世界転移した時にチート能力を貰った」だの、
「子供の頃から魔法の特訓をしまくってメチャクチャ強くなった」だの、
多少の違いがあったとしても、結局は俺TUEEEして女をはべらせてさすなろする話ばっかりですからね。
「死に戻り」なんていうのも確かにスゴイ能力なんですが、だからと言ってそれで俺TUEEEはできませんし。戦闘力は一般人と一緒です。
「なろう漫画」における異世界のチンピラと言ったら、主人公がちょちょいとやっつけてヒロインを惚れさせるための存在のはずですが、この漫画では十分に主人公を苦しめ、主人公がヒロインに助けてもらうという逆のパターンを作り出します。

 

「死に戻り」を利用したストーリー構成

主人公のスバルは「死に戻り」により、同じ1日を4回経験します。
1度目は、ヒロインとの出会いから謎の死までの正道ルート。
2度目は、ヒロインとは出会わず、死の真相を知る裏道ルート。
3度目で、「死に戻り」を確実に認識することになり、
4度目で、今までの経験をもとに解決まで向かいます。
と、かなりコンパクトにまとまったストーリー構成です。
個人的には「思ったほど死ななかったなぁ」と思いましたw
「死に戻り」に気付いてから何回かチャレンジすることになるのかなと思ったのですが、1回で解決できました。
4回目で突如出てきた「剣聖」ラインハルト(後ろ姿みたいなのは出てきてましたが)の功績が大きいので、若干ご都合主義と感じる人もいるかもしれませんが、第一章なのでこんなものでいいのかもしれませんね。

 

主人公と読者だけが知っていること

ストーリー物で読者を惹きつけるポイントの中に「主人公と読者だけが知っていること」を作り出す、というものがあると思います。
例えば、最近流行りの「小説(ゲーム)の登場人物になった」とか「人生をやり直すことになった」とかもそれです。
「この先のストーリーを知っている」というアドバンテージを利用して有利に事を進めていくというのは、主人公に感情移入した読者にとって、スカッとする展開です。
「死に戻り」も正にそれで、本来であれば知らないはずのことを何故か主人公が知っていることで、敵も含めた周りのキャラクターが驚く展開は見ていてニヤリとしてしまいます。

ちなみに、「周りは主人公のことを弱いと思っているが実は強い」や「周りは主人公が悪いヤツだと思っているが実はいいヤツ(冤罪モノ)」なんかもそれですね。
読者はそれが勘違いだということを知っているので、いつかその誤解が解けた時にスカッとするだろうと期待しながら読んでいるわけです。

 

主人公について

先ほども述べた通り、この漫画の主人公「スバル」は、俺TUEEEをできません。
「やれやれ」とか言いながら超絶魔法を使ったりもしませんし、
超絶魔法を使ったあとに「オレ何かやっちゃいました?」とかも言いません。
チンピラに絡まれたら普通にボコボコにされますし、強い敵には手も足も出ず周りに助けてもらいます。
「なろう漫画」ではよく「どこが普通の高校生やねん」という主人公が出てきますが、スバルは本当に普通の男子高校生の常識的な範囲内での能力で立ち回ります。

と、ここまで聞けばメチャクチャ感情移入できそうな主人公かと思われそうですが、個人的には結構苦手なタイプです。

出典:Re:ゼロから始める異世界生活 第一章 王都の一日編 1巻より

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作者にその意図があったのかはわかりませんが、このページを見た時には不良キャラかと思っちゃいました。
実際に、割とケンカ慣れしているようですし、お調子者でコミュニケーション能力が凄まじく高いです。
どんなに中二病的思考を披露しても、オタク引きこもり系の不登校児には見えません。

まぁ「なろう漫画」には
オタク引きこもりだったはずなのに、何故かとんでもないコミュ能力を発揮したり、
気弱なイジメられっ子だったはずなのに、偉い人にもいきなりタメ口をきいたり、
女が苦手な童貞だったはずなのに、初対面のヒロインの頭をなでてポッとさせたり、
という支離滅裂な主人公設定も多いのですが。

ただ、スバルに関しては、第一章しか読んでないですが、ガチで不良キャラかもしれませんね。
不良と言っても「犯罪行為を犯す系の不良」ではなく、「学校さぼってパチンコ行ったりする系の不良」ですが。マイルドヤンキーってヤツかな?

そんな感じプラスどんな時でもふざけたような言動をするというのがスバルの特徴です。
この言動を「面白い」と感じるか、「苦手だわー」と感じるかがスバルを受け入れられるか否かの分かれ目になるかと思います。
ただ、さすがに終盤はマジメなシーンも増え、不快感度はほとんどなくなります。

 

総評と今後 

主人公に関しては好みが分かれると思いますが、ストーリーに関してはしっかり考えられていて好感度は高いです。
そもそも「死に戻り」(というか「ループもの」)という設定上、しっかりと練ってからでないと書けないのかもしれません。

今回は「第一章」だけのレビューでしたが、漫画では「第四章」の途中まで出てるみたいです。(2020年7月時点)
一応「第一章」だけでもまとまっている作品だとは思いますが、やっぱり謎は色々と残ってますね。
敵も生き残ってますし、「剣聖」ラインハルトも重要キャラっぽいですが最後の方にしか出てきてませんし、ヒロインが何者なのかも明かされてないです。