かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻

 

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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作品名:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦

okama 細音啓/原作 猫鍋蒼/キャラクター原案

連載誌/レーベル:ヤングアニマル

出版社:白泉社

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan 紹介文より

2018年、一番波に乗っているラノベ作家・細音啓と、大人気イラストレータokamaがタッグを組む!! 「新作ラノベ総選挙2018」で【第3位】を獲得した話題のヒロイックファンタジーノベル、待望のコミカライズ第1巻! 魔法と機械の戦争が続く世界で、最凶の魔女と最強の剣士が出会う時、運命が動き出す―! オーディオドラマ化など様々なメディア化も進行中!!

ebookjapanで1巻が無料になっており、タイトルに惹かれて読んでみました。
タイトルに惹かれたと言っても、意味は全くわかりませんでしたが。
どういう意味だろうと思って読んだというのもあります。
さて、せっかくなのでレビューしてみたいと思います。

 

登場人物

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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イスカ
主人公。帝国の最高戦力「使徒聖」の一人で、史上最年少らしいです。

 

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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アリスリーゼ・ルゥ・ネギュリス9世。通称「氷禍の魔女」。
ヒロイン。大魔女ネビュリスの直系の「純血種」であり王族です。

 

あらすじ&レビュー

第1話:少年と魔女①

軍事国家「帝国」と、魔女の国「ネビュリス皇庁」が戦争を続けている世界で、帝国の最高戦力「使徒聖」である主人公は、捕らえられていた魔女を逃がしてあげました。

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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「これがうまくいったら君以外の子も逃がせるかなって」
「おぉ、良い奴やん主人公」と思わせといて、

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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ダサすぎて笑えます。
これで主人公がギャグキャラだったら笑えるだけで済むんですが、基本的にカッコいいキャラとして描かれてるんで逆にダサいです。

主人公が投獄されてから1年後、「氷禍の魔女」と呼ばれる強い魔女が攻めてきたことから、「釈放するから氷禍の魔女倒して来い」という理由で釈放されます。

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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1年間の刑務所暮らしでボサボサになった髪の毛を、主人公にしか扱えない「星剣」と呼ばれる特別な剣を使ってカットします。
逮捕時のダサい姿を見てる以上、いくらカッコつけられてもダサく見えますね。
「そもそもカッコよくねえよ」と思う人も多いかもしれませんが。

この一連の逮捕~釈放という展開が、この漫画にとって必要だったのか、1巻を読んだだけでは疑問にしか思えませんでした。
このエピソードがあることでツッコミどころがだいぶ増えます。
主人公の人となりを紹介するために描かれたのかもしれないのですが、私はこれを見て「この主人公は頭の悪いダサいヤツ」という印象しか持てなかったんですが、それでいいんでしょうか。

 

第2話:少年と魔女②

主人公は前線に向かう途中で、いきなり目的の「氷禍の魔女」と遭遇し戦うことになりました。

この戦闘中に主人公の計画が語られます。
主人公はずっと100年間続いている戦争を終わらせたいと思っていました。
そもそも戦争のきっかけは、超常的な力をもった人々を帝国が「魔女」や「魔人」と呼び迫害したため、それに対して彼らが反旗をひるがえしたことでした。
「帝国が悪いじゃん」としか思えない中、その帝国側の主人公が考えた計画は「氷禍の魔女を人質にして魔女たちに平和交渉に応じさせる」というものでした。
帝国の方に和平する気があるのか、あったとしても人質をとった帝国がどういう条件を突き付けるのか、魔女に対する迫害を続けることはいいのか等々、主人公はちゃんと考えているのかということが気になります。
「さすがに考えてるんじゃ…」と思いたいところですが、主人公はつい1年前に無計画な行動で逮捕された無能でした。。。

それでも、主人公が熱く語る「戦争を止めたい」という想いは本気なんだろうと思ってました。

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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そしてこの漫画自身も、全体的な流れとしては、戦争や復讐の連鎖をどう終わらせるか、そういったことをメインに描かれていくんだろうと思いました。
この時までは、

出典:キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 1巻より

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完全に「流れ変わったな」って言うところですよねこれ。。。

 

第3~4話:僕が、私が、出会った人は

氷禍の魔女のことが頭から離れない主人公は、気分転換にオペラを見に行くことになりました。
一方、主人公のことが頭から離れない氷禍の魔女も、気分転換にオペラを見に行くことになりました。
偶然2人は隣の席になり一悶着起きますが、中立都市だったため自制し、戦いにはならず別れます。
しかしその後、偶然立ち寄ったパスタ店で相席になり、やたらと気が合う「楽しい……」みたいな感じになります。アホくさ

マジで流れ変わってます。
戦争なんてそっちのけで恋愛漫画が始まってしまいました。

そもそも本来なら国家反逆罪で終身禁固刑だったはずの主人公が、こんなに自由に遊びまわれることが違和感です。
私はてっきり、厳しい監視の下、最前線で戦いの日々を強いられるものだと思ってました。
ですが蓋を開けてみれば、気になる女性が頭から離れず部屋から出てこないことを心配した仲間からオペラのチケットを貰ったので、中立都市に遊びに行く、というメチャクチャ充実した生活をおくれています。
釈放される際、「最高意思決定機関はそんなに慈悲深い相手ではない……」とか言ってましたがメチャクチャ優しいですよね。
氷禍の魔女を倒すという任務のために釈放されたはずなのですが、もしこのタイミングで氷禍の魔女が攻めてきたらどうしたんでしょう。
まぁ結果的には氷禍の魔女の方も戦争そっちのけでオペラ鑑賞に来て主人公とばったり出くわしてるわけですけど。
戦争が一体どういう状況で行われているのかが全く見えてこないです。

 

第5話:運命をつなぐもの

演習中の主人公のもとにやってきた「リシャ」という人物からチケットを貰ったため、今度は展示会を見に行くことになりました。
一方、氷禍の魔女も展示会を見に行くことになりました。
そして再び2人は出会い、「なんで あなたがここにいるのよーっ」となります。アホくっさ

てっきり私は、主人公以外に氷禍の魔女を倒せる人物がいなくてしょうがなく釈放ということだったのかなと思っていたのですが、主人公の部隊は今さら演習をしているし、実績もないみたいですし、即戦力ですらなかったんですね。
それに主人公は「使徒聖」の中では末席だったようで、今回の話で登場した「リシャ」っていう人物は主人公よりも圧倒的に強いそうです。
国家反逆罪を犯した主人公を釈放する必要あったんですかね。
そして相変わらず戦争そっちのけで遊びに出かけてるし、100年も戦争が続いてると言っても現時点ではそこまで切羽詰まった状況じゃないっていう認識でいいんですかね。

 

総評と今後

軍事国家と魔女の国の戦争を描いた戦争モノかと思いきや、戦争してる最中にそれぞれの英雄が恋愛をするっていう恋愛モノでした。
タイトルに「キミと僕の~」とあるのである程度は覚悟していたのですが、まさかここまでベタベタの恋愛モノとは思ってませんでした。
前半は「戦争」とか「迫害」とか重いワードが力を持っていたので、それなりにシリアスな話かなと思っていたのですが、後半になるとそれらのワードは主人公とヒロインの恋を盛り上がらせるためのスパイス程度だったのかなという感じになっちゃいました。

じゃあ、恋愛モノとして見た場合おもしろいかと言うと…どうなんでしょうね。
最初の方は「いがみ合っていた2人が徐々に恋愛に発展していく」みたいな流れも感じましたが、もう既に両想いと言っていいレベルにまでなっちゃいましたし、あとは素直になるだけっていう感じですね。
ぶっちゃけ大学生になってはじめて恋をした男女の甘酸っぱい恋愛模様、という雰囲気を感じます。
そういうのが見たい人にはいいのかもしれないですけど私は無理でした。
まぁさすがに戦争などの設定を完全無視するとは思わないので、今後、主人公とヒロインが戦争の激化によって引き裂かれるというロミオとジュリエット的な状況になれば私みたいなのでも面白く感じるかもしれませんが、どうなんでしょう。
一応、作中に出てきたオペラの内容もそんな感じだったので、そういうのがテーマなのかなとは思いますが。

 

ちなみに全くわからなかったタイトルの意味なんですが、
「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」
まさかとは思ったのですが、「世界」を「恋」に変えてみたら、
「キミと僕の最後の戦場、あるいは恋が始まる聖戦」
漫画の内容と合致してしまいました。
そうなると第1巻にして主人公とヒロインの戦いは終了ということになってしまいますが、この漫画的には不思議じゃないですね。
「恋」を「世界」と表現するのもラノベっぽいしw
さて、この推理は合ってるんでしょうか。