かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻

出典:辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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作品名:辺境の老騎士 バルド・ローエン

漫画:菊石森生 原作:支援BIS

連載誌/レーベル:ヤングマガジン サード

出版社:講談社

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan紹介文より

「なろう系」の新感覚グルメ・エピック・ファンタジーをコミカライズ!! 大都市クラークスで老騎士バルド・ローエンの魔獣の皮を巡り殺人事件が起きた! 老騎士の旅の一行に<腐肉あさり>の異名を持つ盗賊ジュルチャガが加わり、老騎士一行は殺人事件の真相を暴く!! 旅の途中で寄ったマジュエスツ領では野生の馬・ 白羅王が暴れまわっていた。領主に間者の疑いをかけられたバルドは白羅王と共に死地に追いやられる!? 老騎士が見出した活路とは如何に!

なろう系漫画にしては渋くて硬派な良作品です。
気に入っていてずっと追っかけていた作品だったんですが、最近ちょっと気になることが出てきたので、ちょっとレビューしてみたいと思います。
 

登場人物

辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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バルド・ローエン
「人民の騎士」として名高い老騎士。

 

辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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ゴドン・ザルコス
ザルコス家当主にしてメイジア領主。
バルドを師匠と仰ぎ、旅に同行することになった。思い込みが激しい。

 

辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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ジュルチャガ
「腐肉あさり」と呼ばれる盗賊。
なんだかんだでバルドに懐いており、色々できる便利な若者。

 

5巻までのざっくりとしたあらすじ

魔獣を防ぐための巨大な壁「大障壁」に囲まれたファンタジー世界。
その壁の、ただ一カ所だけ存在する切れ目に位置するパクラ領。
最も過酷なその場所で、長い間戦い続けてきた騎士バルド・ローエンは、58歳で食べ歩目的のない旅へと出発しました。
その旅の途中、魔獣の皮で鎧を仕立てて貰っていたところ、その仕事を任せていた皮職人のポルポさんが殺人容疑で捕まったからさあ大変。

 

6巻のあらすじ&レビュー

第31~32話:殺人事件

殺人容疑で捕まったポルポさんですが、冤罪を疑った主人公たちによってスピード解決します。
ぶっちゃけここらへんの展開が早すぎだと思うんですよね。
ジュルチャガが有能すぎて真相の全てを彼があっさり解明、真犯人も尋問だけで白状させられちゃいました。
もともとそういうところはあったんですが、それほどピンチらしいピンチにならないんですよね。
特に、

出典:辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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ここをナレーションで済ませるのって勿体なくないですかね。
「マリガネンの長男」ってこのコマだけの登場ですよ。
あらかじめ登場させて主人公たちにムカつくことを言わせておいて、読者から「なんだこのクソは」と思わせたうえで、「ぴえぇえん、しゅみましぇんでしたぁぁぁ」っていうざまぁ展開を見せた方が読者は喜ぶと思うんですけどね。
まぁ一般的な「なろう漫画」ではよくあるやつなんですが、この漫画は逆に無さすぎじゃないかなと。
そこがこの漫画の良さでもあるんでしょうが、さすがにこのところあっさりしすぎなのが気になるようになってきました。

 

第33~36話:マジュエスツ領

マジュエスツ領に立ち寄った主人公たちですが、領主に招かれてしばらく滞在することになりました。
マジュエスツ領では「白羅王」と呼ばれる野生の白馬(というかユニコーン)が人を襲うという事件が多発しているほか、領主に仕える重臣が次々と奇怪な死を遂げていました。
領地の様子や、領主とその妻の態度にも疑問を持った主人公は、合流したジュルチャガに調査を依頼しました。
そんな折、領主に誘われて「白羅王」退治に同行することに・・・

というあらすじのストーリーなのですが、実はこのあらすじ部分を一話に詰め込んでいます。
領主とその妻との会話はほとんどなくナレーションで主人公の感想を言ってるだけなので、いまいち話に入り込めませんでした。
「白羅王」退治に関連するアクションシーンの後、真相の解明が行われるのですが、それもまたジュルチャガが全部やってくれました状態ですね。

一応ネタバレにならないようにこれ以上の説明はしませんが、新たな仲間ができたのでそちらは紹介したいと思います。

出典:辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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ルジュラ=ティアントと呼ばれる亜人のモウラと、精霊のスィです。
「なろう漫画」で亜人と言えば、普通の人間に申し訳程度の獣耳や尻尾をつけるだけの、コスプレにしか見えないものばっかりなのですが、この漫画ではしっかりとファンタジーチックな亜人を出してきます。

出典:辺境の老騎士 バルド・ローエン 5巻より

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コスプレ美女とキャッキャウフフしたいだけの他の「なろう漫画」と比べるのが申し訳ないですね。
ちゃんとしたファンタジー世界を描こうとする姿勢が、この漫画が良作たる所以でしょう。

それだけに1つ1つのエピソードもしっかりと描いてほしいなと思います。

 

第37~38話:シェサ領

シェサ領の領主の長男と出会った主人公一行は城に招かれました。
しかしそこで、弟に家督を継がせるため、皆に「自分が死ぬ幻覚」を見せてほしいと頼まれ・・・

というストーリーです。
このエピソードも、始まったと思ったらすぐ終わってしまいました。
今後の伏線として必要なエピソードなのかもしれませんが、味気ないエピソードが続いてる感じがします。

 

総評と今後

何度も書きましたが、駆け足で話を進めてるのが勿体ないです。
この後に壮大な物語が控えていて、そこに行くまでは必要最小限にしている、というならまだわからないではないですが、
世界観重視で、小エピソードをたくさん紹介するというコンセプトでずっと続けるなら個人的にはガッカリです。
まぁ個人的な好みの問題もあるかもしれないですが。

一応、要所要所に「はじめの人々」や「大崩壊」といったワードを用意していたり、魔剣に関しても「古代」とつながる伏線だと思うので、期待はしています。

 

最後の最後に気付きました。
巻末に次巻の予告が載ってました。

出典:辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻より

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これは力入れて描いて来そうな予感がします。
新章に期待ですね。