かってに漫画レビュー

漫画を勝手に分析したり考察したりして感想を書いていく予定です。

【漫画レビュー】ゴールデンカムイ 22巻

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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作品名:ゴールデンカムイ

作者:野田サトル

連載誌/レーベル:週刊ヤングジャンプ

出版社:集英社

ジャンル:青年マンガ

ebookjapan紹介文より

相棒ならば…「するな」ではなく「一緒にしよう!」 前向きな言葉が聞きたいんだ! アシリパと杉元(+白石)、???ちゃんは、樺太脱出、海に出る! 迫るは第七師団・雷型駆逐艦クリオネ&謎の白い熊!? 冒険・歴史・文化・狩猟グルメGAG&LOVE!ホラー←NEW!! 和風闇鍋ウエスタン絶好調の第22巻!!!!!!!

 

登場人物

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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不死身の杉元

漫画史上もっともカッコイイ主人公じゃないかと思います。
人を殺すことは悪いことだとわかっていながらも、やらなきゃいけない時には容赦なく人を殺せる主人公です。
ただアシリパさんが手を汚すことだけは嫌がっています。

 

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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アシリパさん

アイヌの少女です。
金塊の在処につながるキーワードを知っている唯一の人物です。

 

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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「脱獄王」白石

刺青の囚人の一人ですが、初期の頃から杉元たちの仲間になっています。

 

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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ヴァシリ

ロシア人狙撃手です。
尾形に復讐するために、今巻から主人公パーティーの一員になります。
絵がうまく狙撃の腕も一流ですが、日本語が全く通じません。

 

あらすじ&レビュー

第212~213話:第七師団からの逃走

第七師団と交渉決裂したアシリパと杉元は逃走を始めます。
つい最近まで助け合いながら共に旅をしていた鯉登と月島までもが敵になり、殺し合いをはじめます。
そして今度は、こないだ殺し合いをしたロシア人狙撃手ヴァシリと行動を共にすることになります。
その後、白石とは合流、谷垣とは別れることになります。
ホントにこの漫画は敵と味方がコロコロ入れ替わるうえ、容赦なく殺し合いをするのが恐ろしいですね。

 

と、ここで殺し合いと書きましたが、実際には杉元、鯉登、月島の3人は死んでいません。
何度も読むうち、この3人はお互い殺さないようにしたのではないか、という気がしてきましたので検証してみます。

 

月島は杉元を殺そうとしたのか

止まれッ 逃げられんぞ杉元ッ

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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いきなり撃ってもよかったっちゃよかったわけですが、警告をしてます。
もちろん警告することは別に不自然な流れではありませんが、杉元・月島がお互いを認識し合った無言の2コマに、どんな思いが隠されていたのか。
結局その後、逃げようとした杉元を撃っているわけなので、「逃げられるくらいなら撃つ」という思いではあるのでしょうが、第一希望として「撃たずに済むなら撃ちたくない」という思いだったとは言えるんじゃないでしょうか。
杉元は杉元で警告を無視するわけですが「月島はもしかしたら撃たないんじゃないか」とでも思ったのかもしれない、というのは甘い考えですかね。

 

その後、月島に続いて仲間も撃ち始めるのですが、アシリパさんが杉元に駆け寄ったことで月島が「撃つなッ アシリパに当たる!!」と言って撃つのを止めさせます。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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純粋に「計画上、アシリパを死なせてはまずい」というだけの可能性もありますが、月島が撃つのを止めさせたという客観的な事実は大きいと思います。

 

さらに、倒れた杉元に近づいた鯉登に対して「何をやっている 近づくな鯉登少尉!!」と必死に止めます。月島は「これくらいでは杉元は死なない」と思っていたわけですね。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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杉元は鯉登を殺そうとしたのか

3発の銃弾をくらって倒れた杉元ですが、近づいてきた鯉登を短剣で刺します。
短剣は鯉登の左胸上部を背中まで貫いています。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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さて、杉元は鯉登を殺そうとしたのでしょうか。
杉元が刺した場所は致命傷ではないのか?
あんまり詳しくないのでネットで調べてみました。

腹部には臓器がたくさんあり、特に腎臓と肝臓を傷付けてしまうと相当危険です。
胸部でも中央寄りだと、心臓があるので危険です。
なので左胸(右胸でも)上部というのはマシな方っぽい。

ただし鎖骨下動脈を切ってしまっていたら失血死の恐れがあるようです。
胴体の中では一番リスクが少ないところを刺したけれども、死んだら死んだでしょうがないという感じでしょうか。
「ぶん殴る」という選択肢であれば鯉登が死ぬリスクはほぼなくなるとは思いますが、そうすると自分たちが逃げ切れる可能性が低くなりますからね。

もっとも、そもそも実は杉元って、この物語の中で明確に人を殺したことってそれほど多くないんですよね。
第七師団の双子の片割れと、偽アイヌ達くらいだったはずです。
ガンガン殺してるイメージありますけどね。

 

鯉登を心配して付き添う月島

こちらは明確に鯉登を心配しています。
もちろん仲間なので当然ではあるのですが、「月島軍曹追え!!逃げられるぞ」と言われても、それを無視して付き添い続けます。
また、そんな鯉登をスルーした鶴見中尉に対して「嘘でも心配したらどうですか」と不満を感じています。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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まぁ鶴見は鶴見で、真意がよくわからない人ではあるんですがね。

 

総合して考えると

なんだかんだで、共に旅をした3人はやはり特別な思いをお互い持っているのではないでしょうか。
ガンガン人が死ぬ漫画ではありますが、かつての仲間を殺すのはさすがに簡単なことではないみたいです。
ただそれでも「死んだら死んだでしょうがない」くらいの感じで戦ってますので、いずれはキロランケに続き、誰か死んでしまうかもしれません。
そしてその殺し合いにアシリパさんも参加する覚悟を決めたようです・・・

敵味方両方に死んでほしくない人がいる漫画は緊張感がヤバいです。

 

第214~216話:樺太連絡船~流氷の上での戦い

連絡船に乗り込んで逃走を続けた後、隙をついて流氷に降りて、なんとか逃げ切ることに成功しました。

と、ここでゴールデンカムイ恒例のお食事タイムです。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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クリオネです。臭いッ
まぁアイヌでも食べないそうなので、アイヌ料理ではありません。

で、実際どうなんだろうと思ってネットで検索してみました。
食べてみた人のレビューがいくつか出てきました。世の中には白石レベルの人が結構いるもんなんだなー
で、そのお味はというと、シンナー臭い、ガソリン臭い、とのことです。
やっぱり基本的には食べるものじゃないようですね。

 

その後、白い毛の熊に襲われます。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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深刻な話をしている中、徐々に近づいてくる熊とそれに気付かない一行

ホッキョクグマなのかアルビノのヒグマなのか結局わからずじまいですが、アシリパさん曰く、その毛皮は相当高い値段で売れるのではないか、と。
欲に駆られた杉元たちは、なるべく傷付けないように殺そうと企みます。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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しかし、そんな簡単なことではありません。
過去の思い出をヒントにし、なんとか熊を倒すことはできましたが、杉元も大きなダメージを受けてしまい、白い毛皮を回収することはできませんでした。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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過去の思い出

 

シロクマとホッキョクグマって別物なの?

と、この話を読んでいて、シロクマとホッキョクグマって別物なの?と疑問に思ったので、ネットで調べてみました。
どうも「シロクマ」というのは、もともと日本にいたツキノワグマやヒグマなどで遺伝子疾患で白く生まれてきた個体を「シロクマ」と呼んでいたのが始まりらしいです。
その後、北極に生息する「ホッキョクグマ」という種類の熊を「シロクマ」と呼ぶようになりました。(もともと白いですからね)

要するに、「ホッキョクグマ」というのはれっきとした熊の種類で、「シロクマ」はとにかく白い色の熊の通称、ということみたいですね。

 

 

第217~221話:ホラー回

北海道に戻ってきた杉元たちは砂金掘りで大儲けしている男の噂を耳にします。
欲に駆られた杉元たちは、砂金掘りを行うために川にやってきました。

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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ごじゅうえんも!?

そこで平太という砂金掘り師とその家族と出会い、砂金掘りの指導を受けます。
しかしそこに足跡を残さないヒグマが近づいてきて・・・

出典:ゴールデンカムイ 22巻より

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という2回以上読みたくなること必至のホラー回です。
是非ご自分で読んでみてください。

 

総評と今後

 

樺太編が終わって北海道に戻ってきました。
第七師団と決別したことによって、主人公チーム・第七師団・土方チーム、さらに尾形やソフィアと、ここへきて一気に勢力が増えた感じがします。
しかも、かつては共に行動した仲間がバラけていたりしているので、人間関係も複雑で、ますますどうなるか予想がつきません。

個別のエピソードとしては、個人的にはホラー回が面白かったです。
こういうふうに全体的な流れのほかにも、一つ一つのエピソードに工夫が凝らされ、笑いも散りばめられているのが素晴らしいです。

 

刺青の囚人は残り4人のようですね。
ここ最近のペースで考えるとあと10巻以上は続くものと思われますが、今後どうなっていくのか全く予想できず目が離せません。